新型コロナとインフル同時感染で重症化リスク4倍の報告も 医師が指摘する“浮遊ウイルス”と“歯磨き”時の家庭内感染

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年が明けても感染の高止まりが続く新型コロナウイルス感染症。

最近はインフルとの同時感染も増加傾向にあるが、注意すべき症状と治療法、さらに家庭内の感染対策などについて、いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長に聞いた。

風邪患者の2/3以上が新型コロナ抗原検査で陽性

ーーまず、診察の状況はいかがですか?
やはり新型コロナ感染症の患者が多いです。

若い人を中心に、一部高齢の方も増えてきましたが、風邪の患者の2/3以上は新型コロナの抗原検査で陽性が出るので、少なく見積もっても6~7割、それ以上の高い陽性率です。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長

ーー増加はいつから?
昨年11月中旬に50%を超え、12月は60%、その後、12月末にかけて一旦50%近くまで下がったんですけど、年明けになってからまた60%を超えました。

症状の強い人を先に診ると、新型コロナ感染症が大半を占めていて、一部にインフルエンザの方が混じっているという、まだ全く気が抜けない状況になっています。

ーーその中にコロナとインフルの同時感染の方もいる?
同時感染の患者は最初が昨年10月末で、2例目が1月1日に臨時で発熱外来を行ったら、7歳の男の子がインフルエンザA型とコロナの同時感染でした。

大晦日から元日にかけて関節痛、頭痛、咽頭痛、咳、熱が41.7度まで上がり、ぐったりしている感じでした。

コロナとインフルに同時感染した7歳の男の子
コロナとインフルに同時感染した7歳の男の子

全国で懸念が広がる同時感染。
すでに、30の都道府県で季節性インフルエンザ流行入りの目安を超えていて、これまではコロナの検査のみを受ける患者が多かったが、最近はインフルとの同時検査が増えてきたと伊藤院長は話す。

共通点は高熱と、長引く咳と痰

ーー同時感染は症状が重い?
まだ数少ない経験で全般に言えるか分かりませんが、これまで診た2人の同時感染患者の共通点は、高熱、その後、咳と痰の気道の症状が強く長く出て、苦しい日々が続いたことです。

ですから、「同時感染してもオミクロンなら大したことない」ということは全くなくて、それぞれの感染をした時よりも強い症状があると考えます。


ーー同時感染した場合の治療法は?
インフルエンザは、タミフル、リレンザ、イナビルといった確立した内服の治療がありますから患者さんの病状に合わせて処方することになります。

抗ウイルス薬は、発症してから48時間以内だと有効性が認められるので、本人や家族の方が希望すれば処方し、ウイルスの増加を抑制し早期の軽減が期待できます。

一方、新型コロナ感染症に関しては、経口内服治療薬もいくつか出てきましたが、高齢者や重症化リスクのある人のみに限定されるものが大半です。「ゾコーバ」という薬が出てきましたが、12歳以上が対象なので、先ほどの7才の患者さんは対象外で経過観察となりました。

よって同時感染がわかった場合、インフルエンザの経口内服治療薬と対症治療薬、つまりインフルエンザの治療薬が軸になって治療していくことになります。


高熱や強い咳が長引くといった傾向がみられる同時感染。

このクリニックで確認された同時感染は、現在のところ約300人に1人だが、今後は2~3倍に増えてもおかしくないと伊藤院長は指摘する。

また、海外のデータでは、コロナのみに感染した場合と比較して、重症化リスクは約4倍、死亡リスクは約2倍といった報告もあり、注意が必要だという。

重症化リスク4倍、死亡リスク2倍のデータも

ーー同時感染は患者の何割ぐらい?
秋冬シーズンの発熱外来で、新型コロナの患者さんが500~600人、そのうち2人が同時感染だったので、大雑把にいうと300人に1人となります。

しかしインフルエンザの数が1月になってから急速に増えたので、同時感染の患者さんを見かける頻度は今後増える可能性があると思います。

ーー後遺症はどうでしょうか?
実際、後遺症として、咳・痰・呼吸困難という咳喘息のような形で治療をしていることがあります。

海外のデータでは、同時感染の場合、重症化リスクは約4倍、死亡リスクは2倍強といった報告もありますから、そこまでいかないまでも、やはり難治化したり、後遺症の心配はあります。

(イメージ)
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ーー同時感染が起きやすいシチュエーションは?
家庭内や学校、職場で、コロナやインフルエンザに感染している人がいた場合、声を出したり、飲食のような場面で混じり合った時に一定の確率でリスクがあります。

“免疫干渉”ということで、同時感染はそう簡単には起こらないということがウイルス学的にはあると思いますが、珍しい中でも起こりえます。

誰もいなくてもウイルスは浮遊

ーーどういった予防策がある?
今もマスクは必要で、うがい、手洗いはしっかりとする。
人がいない場所にはウイルスがないわけではなく、さっきまで人がいた場合は、まだウイルスが漂っているかもしれないという発想を持っていただきたい。

皆さん「なんで感染したかわからない」と口を揃えて言いますが、例えば3分前まで3人が話し合いをしていて、そこには複数のウイルスが漂っている空間がある。その3人が去ったあとにそこに行けば、複数のウイルスが混じり合った空気を吸い込むわけです。

誰もいなくてもウイルスは浮遊しています。「見えないものを見ていく」という発想を持たないと、必ずどこかでやられてしまうと思います。

(イメージ)
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ーー家庭内で気を付けられることは?
学校、職場など外から帰ってきたらまずうがいをして、手洗いをして、可能ならば着替える。

あと高い熱が出る前に、喉のイガイガや痛みなど前兆症状がある人が多いので、喉がやられ始めたら、その時点で別に寝たり、加湿・換気をする。
そして、見落としがちなのが“歯磨き”です。口をゆすぐ時に結構飛沫が飛びます。

みんなが同じ洗面所で口をゆすいでいると感染のリスクも高くなります。なるべく換気ができるお風呂場などでやると効果もあるようなので、少しの工夫で感染対策をしていく必要があると思います。

(FNNプライムオンライン1月16日掲載。元記事はこちら

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