140万円のロレックスが“最大700万円”に高騰も…今や腕時計が投資対象に?価格変動の仕組みを買取店に聞いた

経済・ビジネス

投資と聞くと株式や不動産などを思い浮かべる人が多いかもしれないが、近年は意外なアイテムも対象となっている。

それが腕時計。販売から期間が経つと、一部の高級ブランド商品は購入時よりも高い金額で買取されることがあるというのだ。芸能人やYouTuberが挑戦して話題となったりもしている。

GINZA RASINの店内(提供:GINZA RASIN)
GINZA RASINの店内(提供:GINZA RASIN)

高級ブランド腕時計の販売・買取をする「GINZA RASIN」(東京・銀座)によると、近年は投資商材として注目され、企業の経営者から一般のサラリーマンまで幅広い顧客がいるという。

興味深い現象だが、そもそも腕時計はどうして価格が変動するのだろう。

腕時計は“着用できる資産”となった

販売直後が最も資産価値がありそうなものだが、高騰することがあるのはなぜだろう。売買できるものにはブランドのバッグなどもあるが、腕時計が選ばれるのには理由があるのだろうか。GINZA RASINの担当者に聞いた。

――腕時計が投資対象になっているのはなぜ?

まずは背景として、過去30年程でロレックスの腕時計が上昇または下降の波がありつつも、結果的には右肩上がりに相場上昇を続けていることがございます。歴史や生産体制などが支持されているためで、昨今では投資商材としても取り扱われるようになっております。

ゼンマイを動力とした「機械式時計」。半永久的な使用が可能(提供:GINZA RASIN)
ゼンマイを動力とした「機械式時計」。半永久的な使用が可能(提供:GINZA RASIN)

――腕時計ならではの理由はあるの?

腕時計は日本だけではなく、世界中に愛好家がいます。特に歴史あるブランド品は人々の需要が集中しているので何年経っても資産価値があり、高い値段で取り引きされる場合があります。

また、弊社が取り扱う時計もですが「機械式時計」と言われる、ゼンマイを動力とした機構で動かしているものが多いです。機械式時計は適切なメンテナンスを施せば半永久的な使用が可能で、着用しながら資産としても扱えます。ここも注目される要因だと思います。


――ブランドバッグなども売買できるが、腕時計とはどう違う?

話せることは限られますが、違いは供給量だと思います。バッグは高級ブランドでも一定の数を生産できるので、腕時計よりは高額のプレミアがつきにくいと思われます。人気の腕時計は内部の機械も自社で作り、組み立てにも時間がかかるため、生産できる数が限られます。

ロレックスの人気モデルは「140万円→700万円」に高騰

――腕時計の価格変動の仕組みを教えて。

高級腕時計の多くは内部に複雑な機構を有しているため、1年に生産できる本数が多くはありません。また人気のモデルであったとしても、数年が経過すると生産が終了してしまうことが一般的です。このような背景から市場に流通する数が少ないにもかかわらず、流通量以上の需要が存在するため、価値が落ちにくく定価以上の金額で取り引きされるといったケースがございます。

700万円台にまで高騰した、ロレックス・デイトナ(提供:GINZA RASIN)
700万円台にまで高騰した、ロレックス・デイトナ(提供:GINZA RASIN)

――実際はどのくらい高騰したことがある?

ロレックスの人気モデル“デイトナ”は、2016年の販売時は定価約140万円でしたが、2022年1月は700万円前後で取り引きされるケースがございました。現在は相場状況が比較的緩やかなフェーズに移行しつつありますが、それでも500万円前後にて取り引きされています。

デイトナはビジネス用、日常用のどちらとしても人気で、世界各国で好評を集め、生産本数に比べて需要が圧倒的に高まったことで高騰しました。


――着用すると資産的な価値はどうなる?

完全な投資目的であれば、未着用の状態で保存しておく方が良いかと思います。各ブランドは人気モデルでも数年で生産を終了しますため、年数が経過すればするほどコンディションが良好な未使用品の絶対数が少なくなっていくためです。 

人気や資産価値に影響する要素とは

――腕時計に投資するなら、勉強や知識は必要?

需要と供給に乖離があるほど、資産価値は高くなりますので、世界中の時計愛好家にどのブランド・モデルが人気なのかを把握する必要があるかと思います。カラーやサイズ感など、年ごとにトレンドもあるので、時計関係の雑誌やメディアを見てもいいと思います。また、毎年の春には新作発表会がスイスであり、新作の発表と同時に既存モデルの終売が発表されます。そのため、12月~3月頃はどのモデルが終売になるのか、プレミア化するのかなどの予想で盛り上がり、相場の変動も大きくなります。

自社一貫の製造が好まれるという。※画像は製造過程のイメージ(提供:GINZA RASIN)
自社一貫の製造が好まれるという。※画像は製造過程のイメージ(提供:GINZA RASIN)

――腕時計の購入時、売却時の留意点は?

資産性が高い一部のプレミアがついているモデルに関しましては、正規代理店で購入するのが望ましくはあります。ただし、投資対象となるような腕時計は在庫が限られるので、店舗に通うことが必要になるかもしれません。売却時の価格は二次流通市場の相場の影響を受けますので、それらの取引価格を参考にするのも良いかもしれません。

人気の高い時計のひとつ「オーデマ・ピゲ」(提供:GINZA RASIN)
人気の高い時計のひとつ「オーデマ・ピゲ」(提供:GINZA RASIN)

――人気や資産価値にはどんな要素が影響する?

デザイン性や機能性はもちろんのこと、製造に至るまでのプロダクトデザインやブランドコンセプトのストーリー性が深いほど愛される要因となり、資産性の高さにもつながります。また、時計愛好家は自社一貫で製造しているメーカーを好むため、自社一貫の製造だと価値も高くなる印象がございます。実際の査定では、時計本体のコンディション、保証書や箱など付属品の状態も考慮されます。

着用目的に購入して「結果的に得をした」が理想的

――どんな腕時計でもいいわけではない?

大半の時計は顧客の手に渡った時点(=新品でなくなった時点)で価値は大きく下がります。二次流通市場にも影響を与えるほど、需要と供給のバランスに乖離があるような、一部のブランド・モデルが投資対象となり得るという点を前提として捉えていただければ幸いです。

大きなリターンを求める場合は、高級ブランドが選択肢になりますが、複数の製造元がコラボしたものなどでは、数万円の商品でも二次流通で倍近くの価格になったこともあります。
 

――女性向けの腕時計は高騰することはある?

残念ですが、女性向けのモデルはプレミアに結び付きにくいのが現状です。デザインやカラー、宝石の有無などでバリエーションが豊富なのですが、その分、需要が分散しがちになります。

着用が本来の楽しみ方(画像はイメージ)
着用が本来の楽しみ方(画像はイメージ)

――高騰しそうな腕時計を手に入れるコツは?

複数の正規店に定期的に通うことに尽きます。高級ブランドのお店では、購入希望者の人柄でしたり、本当に時計を愛しているのかなどを判断することもあるといいます。その腕時計がなぜほしいのか、どのように使いたいのかを伝えるのも、一つの方法かもしれません。


――腕時計に興味を持った人に伝えたいことは?

個人的な意見も含みますが、今の腕時計は資産性が高いもの、そうでないものに二極化しているところがあります。ただ、どれも歴史あるメーカーの優れた製品です。自分がほしい、着けたいという感覚でも選んでほしいです。着用のために購入したものが役目を終えて売却したとき、購入時と同額、それ以上になるのが、理想的ではないでしょうか。



腕時計が投資対象になっているのは、世界中でニーズがあること、大切に扱えば長期間使えることが関係していた。ただ、そもそもが高い買い物で、高騰するのは一部の商品に限られる。投資が前提ではなく着用を楽しむために購入したものが資産価値にもなっているというのが望ましいとのことだった。

(FNNプライムオンライン1月17日掲載。元記事はこちら

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