登山道に“謎”の落書き 福岡・嘉穂アルプス山中に約120カ所 遭難の危険も

社会

密を気にせず健康にも良いと、コロナ禍で人気が高まっている登山。人気の反面、登山者のモラルが問われるある問題が起きている。福岡・嘉穂アルプスの登山道にある岩に、黄色の塗料で矢印やマークが書かれていたのだ。

1本道に10メートル間隔で

のどかな自然に広がる雄大な山々。福岡・嘉麻市の通称「嘉穂アルプス」。馬見山(うまみやま)・古処山(こしょさん)・屏山(へいざん)と、標高900メートル前後の3つの山が連なり、初心者にも登りやすいと人気を集めている。しかし、この嘉穂アルプスを舞台に、いま困ったことが起きているのだ。


「こちらですね」と案内してくれたのは、嘉穂アルプスの保護や登山道の整備をするボランティア団体「嘉穂三山愛会」の伏貫大輔さん。馬見山の登山口にある大きな岩は一見、何の変哲もない岩に見えるが…。


「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
黄色の塗料で矢印が書かれていたんですけど

この矢印は、2022年11月末に登山者からの報告で判明した。岩に直接、スプレーのようなものでつけられ、矢印の長さは20cmほどだ。山に入る道の場所を示しているとみられている。


現地に足を運んだ伏貫さん。まさかと思い、登山道を確認していくと同じような矢印やマークが次々と見つかったという。


「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
登山口から8合目付近まで、約30カ所ペイントがされてました。迷いようもない1本道にずらりと10メートル間隔でつけてありました

ペイントは「意味のない行為」

誰かが道案内のために? 親切心からつけたものなのか? しかし伏貫さんは、その必要性は全くないと話す。


登山道には、ピンクや黄色のテープで正規のルートの目印が数十メートルおきにあらかじめ設置されているのだ。

「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
目印の横にペイントするというのは、意味のない行為なんですよ

さらに進んでいくと、まだ消されていなかったマークを見ることができた。


「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
マークをつけている岩に長年かけて育ったコケが生えているんですけど、それごとペイントされているんですよね。これはひとつの環境破壊で、絶対にやってはいけないことです


年末に降った雪に埋もれて、取材した日まで見つけられなかったマーク以外は、伏貫さんが中心となり除去したが、油性の塗料は簡単には落ちず、溶剤などを使う必要がある。


「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
結局、最後はコケごとペイントを落とすことになりますね。ブラシでこすって除去するというのは(コケが剝がれて)心が痛いんですけど、こうするしか手の打ちようがなくて

伏貫さんは仮に親切心で印をつけたとしても、個人の勝手なマーキングは危険だと話す。


「嘉穂三山愛会」伏貫大輔さん:
動く石に関しては、例えば台風や雨風で石が流れたときに、あらぬ方向に矢印が向いてしまう可能性があります。それを後から来た登山者が見て、間違ってそっちの方向に進むという危険性をはらんでいます。最悪、遭難という一番あってはいけない事故につながると思います

別の山でも…問われるモラル

被害は馬見山だけではない。


馬見山とともに嘉穂アルプスを構成する古処山では、2022年12月までに登山道の約90地点で同じような矢印やマークが確認されている。中には、そもそも道しるべである案内標識の支柱に書かれたものや、どこへ案内するつもりなのか、山頂では2カ所で矢印が見つかった。嘉穂アルプスの自然を生かした地域おこしに力を入れている嘉麻市の観光協会も頭を抱えている。


嘉麻市観光まちづくり協会 有田芳行事務局長:
ガイド気分になってるのかなという気はします。自分たちは、自然を使わせてもらっているという立場にかえってもらって登山を続けていただきたい

実はこうしたペイントは嘉穂アルプスだけでなく、別の山でも確認されている。

「脊振の自然を愛する会」池田友行さん:
樹木にペイントを塗って回っているのはあります。ひどいのが5メートルおきくらいにやってて「何のためにやってるんだ」と思う


福岡と佐賀にまたがる脊振山(せふりさん)では、木に直接スプレーしたものもあったほか、案内板にはフェルトペンで「自然を守ろう」という、思わず突っ込みたくなるような書き込みも見つかった。

「脊振の自然を愛する会」池田友行さん:
汚いというか、山を汚しているとしか思えないでしょ


たとえ親切心からだとしても自然や景観を壊し、さらに遭難など重大な事故を起こしかねないこうした行為。登山人気が高まる中、それを楽しむ人たちのモラルが改めて問われている。

(テレビ西日本)

(FNNプライムオンライン1月19日掲載。元記事はこちら

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