震災後の神戸を元気づけたパンダ「タンタン」は心不全で“療養中” 27歳の“おばあちゃん”を飼育員が24H見守り

社会

 神戸・王子動物園の人気者・パンダのタンタン。阪神淡路大震災で傷ついた人や街を元気づけようと、神戸にやってきた。中国への返還期限が迫る中、タンタンはいま、たくさんの人に支えられながら、心臓の病気と闘っている。


王子動物園の人気者・パンダのタンタンは“現在”…

神戸市灘区にある動物園、神戸市立王子動物園。園内を見渡すと、至る所に…パンダの絵の看板やマーク、観覧車などが…。


しかし現在、「パンダ館」には王子動物園の1番の人気者、ジャイアントパンダのタンタンの姿はない。

来園した子どもたちは:
パンダおらへんで。どうしたん、パンダ?


実はタンタンは、2年前に心臓に病気が見つかり、体調を安定させるため、長らく、お客さんの前には出ていない。そんなタンタンをずっと側で見守るのは、飼育を担当して16年目の梅元良次さん(40歳)と15年目の吉田憲一さん(54歳)だ。

飼育担当・梅元良次さん:
よくそんなに寝られるなっていうくらい寝ますよ、ずっとここ(屋内展示場)にいますからね。今から半日


4歳で来日「復興のシンボル」…2020年の返還時を前に病気が”発覚”

タンタンが神戸にやってきたのは2000年。中国から雄のコウコウと“つがい”でやってきた。当時、阪神淡路大震災で傷ついた街を元気づけようと、神戸市などがパンダの誘致に乗り出し、王子動物園は連日、多くの人でにぎわった。


コウコウが死んでしまった後も、タンタンは、王子動物園のシンボルとして盛り上がりを支えてきた。そんなタンタンはもう27歳。人間でいうと80歳を超える“おばあちゃん”パンダになった。


転機が訪れたのは2020年。中国との約束の期間が終わり、タンタンはついに返還されることになった。

飼育担当・梅元良次さん:
帰国する寂しさはありましたけど、元気に中国に戻ってくれるのは、僕の中ではゴールかなと思った


しかし、新型コロナウイルスの影響で返還の時期が定まらない中、タンタンに見つかったのが、心臓の病気だった。元気に動き回っていた姿が、いつしか寝ているばかりに…。

動物病院担当係長 獣医師・菅野拓さん:
「(タンタンと)似たような症例が一件だけあったよ」というのが中国の専門家から言われたけれど、積極的に治療してというより、“死後に分かりました”というような話だった。これだけ1年以上2年近い長期にわたって、心不全のパンダを治療した例は多分ないと思います。いかに、タンタンの苦痛を少ない状態で維持していけるかが治療のポイントになると考えています


週2回ほどだった健康診断も、タンタンの様子を見ながら、1日1回に変更。飼育員の梅元さんと吉田さんは、24時間態勢でタンタンのケアをしている。

飼育担当・梅元良次さん:
常に誰かが見ているという感じにしている、夜中でも、もしもの時は集まる態勢もあります

 

 

病気になってからは食欲も減ってしまった、それでも、大好きだった笹をいつでも食べられるよう準備している。


また、体の負担を減らすために設備も少しずつ作り変えている。

飼育担当・吉田憲一さん:
ちょっと急すぎてかわいそう、(はしごの階段が)降りにくいかなと思って、一段目が広がりすぎて、体の負担を減らすために、設備も少しずつ作り変えています

 

 

2人は常に「タンタンファースト」だ。


2022年12月の休園日のある日、珍しい光景に出会った。タンタンが屋外展示場に姿を現したのだ。病気になってから、進んで外に出ることはめったにない。お客さんが誰もいないひっそりとした園内。タンタンは気持ちよさそうに外の空気を吸っていた。


 

飼育担当・吉田憲一さん:
自分で行きたい所に行って、嫌やったら帰るし、だから(ドアを)開けっ放しにしているんであまり見る姿がないから、うれしいですけどね

 

 

ようやく体調が安定してきたタンタン、コロナや病気で延期となっていた返還期限が間近に迫っていた。


療養のため返還は1年延期に…

2022年12月末、動物園の会見が行われた。

園長・加古裕二郎さん:
タンタンの心臓疾患の病状を踏まえて、1年間の延長、2023の12月末日まで延長することで、日中双方で合意いたしましたので、ご報告いたします

 

 

中国側と話し合った結果、返還期限が1年延期となった。


飼育員の2人は、タンタンをもうしばらく見守ることができるようになった。

飼育担当・梅元良次さん:
本音としては最後まで付き合っていきたいのはありますけど、やっぱりそれがもし帰れる状態になって帰れるのならそれはうれしいこと


飼育担当・吉田憲一さん:
同じです、そうですよね。自分が担当している間は頑張って、今の状態か、今よりちょっと上がればうれしいなというだけで、でも無理はさせへんし


梅元さんたちは、自分たちしか見ることができないタンタンの姿をツイッターにあげている。今やフォロワー数は10万人近くになった。

飼育担当・梅元良次さん:
なるべく動画を多くあげるように心がけているんですよ。観覧が今できないので、できれば動いている姿を見てもらった方がみなさん喜んでくれるのかな、楽しみにしてくれているのが、すごくありがたいですよね


神戸で過ごす最後の1年。またみんなに会える日が来ることを願って


(関西テレビ「報道ランナー」2023年1月10日放送)

(FNNプライムオンライン1月21日掲載。元記事はこちら

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