あの日から「ひとりっ子」と言って生きてきた 2人の弟を亡くした男性 28年前の経験や記憶を次の世代へ語り継ぐ 【兵庫発】

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神戸市の東遊園地で行われた「追悼の集い」では、竹灯籠で「むすぶ」という文字が灯された。

震災を知らない人にも伝えていこうという意味が込められているのだが、自分自身の被災の記憶を次の世代に”むすび”続けている方に取材をさせてもらった。

幼い弟2人を震災で亡くす

震災の経験を伝える活動をしている柴田大輔さん(35)。
柴田さんは17日、神戸市の小学校に”語り部”として招かれた。


柴田大輔さん:
(Q:一番伝えたいことは?)
一番のメインは震災を忘れてはいけないということ。今の若い世代の人というと地震のことは分からない。それを僕らがどうやって後の世代に伝えていくかっていうのが僕の中でも一番の課題になっている


神戸市長田区で消防団の一員として見守り活動に取り組む柴田さん。
小学1年生の時に震災にあい、両親と幼い弟2人と住んでいたアパートが全壊し、下敷きになった。


柴田大輔さん:
真ん中の弟の泣き声は聞こえていました。その鳴き声も鮮明で頭の中に残っているけど、泣き声が尋常じゃない。いつもの鳴き声と全然違うから、圧迫されて痛いんやろうな…という声。あれがいまだに残ってる


両親と柴田さんが助け出された後、長田区一体に広がった火がアパートにも燃え移り、3歳の宏亮くんと1歳の知幸くんが命を落とした。

助けられなかった悔しさと弟の死を受け入れたくない思いから、柴田さんは大人になるまで「(自分は)一人っ子」だと周囲に伝えていた。


母・やす子さん:
あの子には寂しい思いをさせんとこうって思っても、(震災でのケガで)私が入院している間寂しかったみたいで。28年間よく生きてきたわ…みたいな感覚。もう夢中で生きてきた

父・昭夫さん:
とにかく地震さえなかったらなって、これがずっと残っているかな


柴田大輔さん:
これは、がれきの中から出てきた写真です


一方で、忘れたくない思い出も残っている。

柴田大輔さん:
(弟の宏亮と)商店街にタコ焼き買いに一緒に手をつないで行った。僕は小学校1年でむこうは3歳。「いつも、だい(大輔さん)がお世話になってます~」って言うてね。「何でお前が言うねん」みたいなね。あれはびっくりしました、オカンの真似をずっとしてたんでしょうね


柴田大輔さん:
弟2人とも、今はおらんから一人っ子でもええんちゃうかなとも思う。ただそういう風に言ってしまったら、弟2人がおったという存在が無くなっていくから。それはそれで寂しいですしね

震災を知らない世代にこそ

大人になってから語り部としての活動を始めた柴田さん。
招かれた神戸市の小学校では、リモートで当時の経験を話した。


柴田大輔さん:
本当に僕もびっくりしたのが”縦揺れ”っていうのですかね。下から突き上げられるような地震を体験しました。その時に2階が落ちてくるところが見えてました。上がバーンって落ちてきて、上から人も降ってくるのが見えました


教室で聞いているのは、当時の柴田さんと同世代の子どもたちだ。

そうした若い世代にこそ震災を知ってほしいと考えている。


柴田大輔さん:
ずっと何時間も埋まっていたんですけど、やっとこさ上から声がしたんですね。「どこにおるんやー!」という声がしました

いつ遭遇するかも分からない巨大な地震。
柴田さんが強調したのは身近な人と支えあうために「つながりをつくること」や、その時に備える事前準備の大切さだ。


柴田大輔さん:
避難所で一番困ったのは食べ物と飲み物です。最初から非常食を準備していたら本当に役に立ちます。そのことを今日は、家に帰って家族でお話ししていただきたいです

参加した児童は:
(Q:地震の話は普段いろんな人から話は聞いたりするの?)
する!お母さんから。おじいちゃん、おばあちゃんからも聞くで。お母さんは経験しとるし

(Q:防災の話もしていたけど、何かしていこうって思った?)
まず食料と水、備えようって思った!


参加した児童は:
(Q:何かやってみようと思ったことありました?)
近所の人と仲良くする! 自分が動けなくなってしまった時に助けてくれる


集会を終えて柴田さんは、28年前の経験や教訓を、”震災を経験していない世代”に伝える大切さを噛み締めていた。


柴田大輔さん:
災害は1人で乗り越えることはできへんって思っている。僕自身が地震で体験して、いろんな方に助けていただいた。それを僕は伝えていきたいかなって


(関西テレビ「報道ランナー」2023年1月17日放送)

(FNNプライムオンライン1月21日掲載。元記事はこちら

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