“性行為”についての教育NGなのに、「13歳での性的自由」ってどういうこと!?

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上谷弁護士も私も子どもを育てている母。“性教育を全くしない”学校の現状には言いたいことがいっぱいでした。このままでは「子どもが危ない」そんな気持ちです。

そんな中、法務省では、性犯罪に関する刑法改正「性的同意年齢」の審議が行われており、子どもたちが性への理解が希薄なまま、法改正されてしまいそうでますます不安が募るばかり。

前編では、改正されたら「性的同意年齢は16歳に引き上げになるのか」について、性被害者の支援や弁護をしている上谷さくらさんに話を聞きました。後編では「性的同意年齢と性教育との関係」についてです。

自身もそろそろ子どもに直接“性”の話しをと語る上谷さくら弁護士(右)
自身もそろそろ子どもに直接“性”の話しをと語る上谷さくら弁護士(右)

性行為について教えることは“禁止”

島田「法務省が示した試案の条文では、13歳以上16歳未満の者に対し、当該者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者が性的行為をした場合は処罰対象とする、と書かれていて、13歳でも5歳の年齢差未満であれば性的な行為はOKというようにもとれる、という前回の先生のお話でした」

上谷弁護士「本当にちょっと待ってよと言いたいですよ。だって、ご存知のように今、日本の義務教育では性行為について教えることは禁止されているんですよ」


島田「小中学校の学習指導要領で、妊娠の経過は取り扱わないとする、いわゆる『はどめ規定』のことですね」

国の学習指導要領に記載されている性に関する『はどめ規定』

★小学5年生・理科「ヒトの授精に至る過程は取り扱わないものとする」
★中学1年・保健体育科「妊娠の経過は取り扱わないものとする」

上谷弁護士「一方で性についての知識においては何も触れさせようとせず、一方では抜け道を作って5歳差未満なら中学生でも性行為の可能性を示すってどうなんでしょうか」


島田「文科省と法務省はお互いこのことについて話し合ったりしないんでしょうか。本当に無責任だと思います」

上谷弁護士「2022年10月26日に、永岡佳子文科大臣が『(はどめ規定を)撤廃することは考えていない』と発言しましたよね。フランスやスウェーデンのいわゆる『性的同意年齢』は15歳や16歳です。しかも性教育が充実していて日頃から性に関するディスカッションもしている。知識があるからこそ“危うさ”も分かるんです。

日本では、子どもの手足を縛って目隠しした状態なのに“どうぞどうぞ”って。子どもたちは“危うい”ということすら知らないまま、半端な知識のまま、放り出されるんです。性に関する様々な情報があふれる今、ちゃんとした教育が必要なんです」


島田「法制審の委員たちはこの矛盾についてどう考えているのでしょうか」

上谷弁護士「私が委員として出席していた検討会(法制審にとりまとめ意見を提出した法務省設置の委員会)でも教育が脆弱だとずっと訴えていました。でも『真に理解できる子がひとりでもいるかもしれない』という意見もありました。学校で教えもしないのに」


島田「え!?ひとりでもそういう子がいるかもしれない、って。子ども全体の話でもない上に仮定なんですか?希望的観測?」

上谷弁護士「偉くなるような人は子どもの実態をあまり知らないのかと思います。自分に子どもがいるといっても、仕事優先で、自分ではあまり子育てをしていないし遊んであげたりした経験も少ないのではないですかね。そんな生活でないと日本って出世できないではないですか。

恋愛中って誰もが浮かれている時期で、大人でも危うくなりますよね。ましてや中学生の歳の子どもが、そのふわふわした状態でちゃんとした知識もないまま性的行為を伴う『性行為の自由』って何なんでしょうか。しかも恋愛だけでなく、スクールカーストなどあったりして、子ども同士と言っても決して対等な関係ではないこともありますよね」


島田「法的に争うことになると、『真に理解していたかどうか』なども争点になってきますね」

上谷弁護士「取り調べの段階でも相当聞かれる。裁判でも。被告人だって無罪か懲役5年以上か、ですから必死に反論してくるでしょうし。だからそういうことをしないで保護しようという趣旨で一律16歳とするのが望ましいと言っているのに。二次被害が起こるでしょうね」 

性教育をしてこなかったことによる“代償”


島田「日本では家庭でも親から子へ、あまり性の話はしないですね」

上谷弁護士「うちも夫は『私にお任せ』というスタンスです。娘には分かりやすい性教育の本を何冊か渡して読ませていますが、そろそろ直接話す時期かと思ってます。そもそも、自分たち親もそして学校の先生方も、ろくな性教育を受けてこないまま大人になっているので知識も弱いですよね。学校で先生たちも性教育はできないと思います。外部委託にして、講師を呼んで生徒たちと一緒に先生も性について勉強するのがいいと思います」


島田「日本は性教育をしてこなかったツケというか矛盾に目をつぶり続けていますが、このままでは実態に合わない法律ができてしまう、という危機感がますます募ります」

上谷弁護士「この話をするとき、法制審メンバーにどうして中学校の先生やPTA連合のような人をいれないのかと思います。子どもの現状を一番よくご存じだと思うので」

最後に上谷弁護士は投げかけます。

「うちの子は実質的に判断できるから、いいんですよ13歳で性行為しても」という親がどこにいますか?」

何のための法改正なのかと。
 

【インタビューを終えて】

性行為について正しい知識から遠ざけられた子どもたちに、性行為の自由を認めるのはいったいどういう国なのだろうかと思ってしまいます。

性的同意年齢を「16歳」で一律にできないのは他の法律との整合性の難しさもあるでしょう。調整が必要な事柄も多くあり、法務省の皆さんには大きな苦労もあるでしょう。

でも、子どもを保護するという観点、被害者に寄りそうという観点を第一に置いて結論を出していただくようお願いしたいです。

明治時代からの刑法、性犯罪に関する積み残し部分の法制審の議論は詰めの段階に来ていてもう間もなく終了すると言われています。国民がしっかりと注視し、必要なら声を上げることが大切だと思います。 

ここまで読んでくださった皆さんはどう感じましたか?

これからも取材を続けます。

(フジテレビアナウンサー兼報道局解説委員 島田彩夏)

(FNNプライムオンライン1月22日掲載。元記事はこちら

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