「出世払い」型奨学金、少子化対策「高等教育、大学以上で検討」

政治・外交


木原誠二官房副長官は22日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、岸田政権が打ち出した「異次元の少子化対策」をめぐり、大学生などへの支援も拡充していく考えを示した。

具体的には、将来の収入に応じて柔軟に返済していく「出世払い」型奨学金の仕組みを大学生にも導入することに前向きな考えを示した。「高等教育、大学以上だと思うが、検討に値する。未来への投資だ。すべての子どもが大学に等しく通えるようにしていくという意味で重要な検討項目だ」と表明。「所得がなく返せない人に返してもらうわけにはいかない。返せる所得になった人から順次返していただくということだ」と述べた。

「出世払い」型奨学金制度は、2024年秋から大学院修士課程を対象に導入されることが決まっている。

また、「異次元の少子化対策」に充てる財源のひとつとして消費税が挙がっていることについて木原氏は「岸田総理も言っているが、消費税について今回、少子化対策も含めて上げることはない」と明言した。

岸田政権は昨年4月、賃上げした企業への税制優遇策として控除率を大企業は最大30%、中小企業は最大40%に引き上げた。

企業に賃上げを求める一方で、防衛費増額の財源の一部として法人税増税を打ち出したことに関し、木原氏は重ねて「ほとんどの中小企業には影響が出ないようにする」と説明。その上で、法人税を増税した場合でも企業に賃上げを促すため、賃上げなどを行った企業に対し、控除率をさらに引き上げる考えがあるかを問われ、「あるかないかと言えば、あり得る」と話した。

番組コメンテーターの橋下徹氏は、フランスなどで導入されている、子どもの数が多ければ多いほど所得税が減税される「N分N乗方式」の導入を政府に求めた。

木原氏は「議論を排除する必要はまったくない。ありとあらゆる選択肢を冷静に議論すべきだ」と応じた。

経済アナリストの馬渕磨理子氏は、第3子以降に月額最大6万円の児童手当を支給する自民党の提言について「なかなかいい数字」と評価。子育て世帯から子ども1人あたりの教育費2000万円(月額7万5000円)相当の支給があるなら子どもを産みたい、との声があることに触れ、「金額面でもう一歩踏み込んでほしい」と増額を求めた。

以下、番組での主なやりとり。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」の大きな柱の1つの「児童手当の拡充」。自民党から第2子に月3万円、第3子に月6万円の案が出た。

馬渕磨理子氏(経済アナリスト):
一歩踏み込んだなという印象だ。「第3子に月6万円」はなかなかいい数字ではないか。子育て中の人に話を聞くと、子ども1人あたりの学費分2000万円ほどもらえるなら、子どもを産みたいという声も聞く。計算すると月約7万5000円だ。(自民党案は)それに近い数字が出だが、金額面でもう一歩踏み込んでほしい。

木原誠二氏(内閣官房副長官):
金額は、これから様々なデータも見ながら様々な議論を踏まえて考えたらいい。教育費を含め子育てには金がかかることは間違いない。児童手当も含めた経済的支援を重層的にやっていくことが重要だ。

松山キャスター:
政府与党内には(児童手当の)所得制限を撤廃せよという声がある。

木原氏:
児童手当については3つほど論点がある。1つは子どもが1人、2人、3人と増えた時の多子加算。中学生までの支給をどこまで延ばしていくか。それと、所得制限をどうするか。橋下さんが言う通り、思想が重要だ。子どもファースト、子どもはみな公平なのだと見ると、なるべく所得制限はないほうがいいな、あるいは高いほうがいいなということになるし、所得再分配と考えれば、一定の所得制限ということはあるのだろうと思う。小倉こども政策相の下で国民的な議論を喚起してもらう。全部できるわけではないので、優先順位をつけて議論を深めていきたい。

橋下徹氏(番組コメンテーター・弁護士・元大阪府知事):
思想がなければ、政策は滅茶苦茶になる。こんなに低い所得制限では絶対ダメだ。何の論拠もないまま適当に今までの政策の中の数字を持ち出しているだけ。子ども1人あたりにどれだけかかるのか。それ以上の収入がある人は、申し訳ないけれども、子育て支援は勘弁してください、と。ただ、累進課税で高額所得者は多額の税を払っている。多額の税を払いながら、子育て支援策はゼロなのかと反発が出る。政府に税制でぜひやってもらいたいのは「N分N乗方式」だ。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
N分N乗方式を見ていく。世帯所得が同じ1000万円の4人家族で比較すると、(現制度で)世帯所得1000万円の場合、所得税率33%で所得税額は330万円。これに「N分N乗方式」を用いると、世帯所得1000万円をまず家族4人で割り、課税対象所得は250万円。その場合、所得税率は10%なので25万円。この25万円に改めて4人家族の4をかけた数字100万円が所得税額になる。「N分N乗方式」では子どもが多ければ多いほど所得税額が軽減される。

橋下氏:
これは思想だ。いま、子ども1人あたりにかかる金がいくらなのかという議論が全然ないが、「N分N乗方式」を検討すると、子ども1人あたりにかかる金はいくらなのか、それぞれの世帯で子ども1人あたりの収入額はいくらなのかという議論になる。世帯収入で税率を決めるのではなく、子ども1人の収入額に換算して税率を決める。要は、子ども1人にいくらかかるのか、そして、それを収入でまかなえない人たちはしっかりサポートする。
高額所得者についても子どもが増えれば増えるほど税率は下がっていくようにすることでバランスを取る。子ども1人にかかる金額という視点で政策議論をやってもらいたい。

松山キャスター:
「N分N乗方式」はフランスでは(少子化対策として)かなり成功しているようだが、一方で、日本では低所得者層や中所得者層にはあまり効果がないのではないかとの見方がある。

木原氏:
橋下さんが言うように、子育てにどれくらい金がかかるのかは議論をして冷静に見極めなければいけない。「N分N乗方式」の議論を排除する必要は全くない。ただ、やはりある意味、高所得者ほど有利になる。もともと高い累進税率からぐっと下がるから。逆に中低所得者はあまり裨益するところがない。仮に中低所得者がもう少し子どもを持てるようにするというのが目的だとすると、本当にいいことかどうかは冷静に議論しなければいけない。共働き世帯もそれほど裨益するところがない。

松山キャスター:
専業主婦の方が計算上有利になるとの見方も一説にはある。

木原氏:
そうだ。1人で世帯を支えているほうが有利になるとの見方もあるので、メリット・デメリットをよく議論したらいい。ありとあらゆる選択肢を冷静に議論すべきだ。

橋下氏:
この税制で効果がない世帯は児童手当などでしっかり手当てをする。児童手当などの支援を受けられない高額所得世帯は税制でサポートする。ミックス型でやるべきだ。公平性を考えると、今の累進課税でそのまま所得制限を入れると、多額の納税をしている人からは不平不満が出ると思う。(税制と支援策の)ミックスで考えてもらいたい。

松山キャスター:
子育てでは教育にかかる金をどう補助していくかも焦点になる。高校の授業料や入学金の支払いを一旦国が立て替えて、学生本人が卒業後に出世払いで返済する制度の導入について岸田政権の中で検討しているようだが。

木原氏:
岸田総理は自民党総裁選に出た時から、オーストラリアが導入している出世払いのヘックス(HECS:Higher Education Contribution Scheme)制度のような仕組みを検討すべきだと言ってきた。高校というよりは、高等教育、大学以上ということだと思うが、検討に値するだろう。制度設計をどうするかはこれからの議論だ。未来への投資だ。すべての子どもが大学に等しく通えるようにしていくという意味では重要な検討項目だ。

松山キャスター:
大学卒業後に、年収がある程度の額以上になったら、その時点から返済をしていくような制度設計になるのか。

木原氏:
所得がない人から、返せない人から返してもらうわけにはいかない。返せる所得になった人から順次お返しいただくということだ。

松山キャスター:
少子化対策の財源については、自民党内でも菅前首相らから「消費税増税の議論をするのはあり得ない」との批判が出ている。防衛増税についても「突然だった。増税については丁寧な説明が必要だ」と苦言ともとれる意見が出ている。

木原氏:
(少子化対策での)消費税の議論については、岸田総理が明確に当面触ることは考えていないと、言っている。国会でも言っているし、様々な場面で言っている。総理の言葉のとおりだ。消費税について今回少子化対策も含めて触ること、上げることはないと申し上げていいと思う。

松山キャスター:
政府が一連の政策を打ち出す中で、防衛費増額を法人税などの増税で賄う方針が出され、少子化対策も場合によっては増税ということになるかもしれない。増税方針の一方で企業には賃金アップを求める。ベクトルが逆ではないかという指摘がある。

木原氏:
今回、法人増税をお願いするにあたっても、(法人所得のうち)2400万円相当分を税額控除の対象にして、ほとんどの中小企業には影響が出ないようにする。中小企業の皆さんには、まず賃上げができる環境を作っていく、というメッセージを合わせて出している。経済あっての安全保障だ。そこは混同しないようにしっかりやっていきたい。

松山キャスター:
賃上げに取り組んでいる企業に対しては、今も法人税の控除率を引き上げているが、(防衛増税に伴う法人増税で)更に控除率を引き上げる考えはあるか。

木原氏:
それは税制改正の中で議論することだ。あるかないかと言えば、あり得る。

2つ言いたい。今まで賃上げがなぜできないかというと、「生産性が上がらないからだ」と言われてきたが、日本も実は労働生産性はずっと上がってきている。だけど賃金は上がってこなかった。「儲からないからだ」と言われてきたが、実は史上最高益の時もあった。でも、賃金は上がらなかった。やはりマインドの問題だと思う。賃上げはしなければいけない。では、なぜこれまでできなかったか。やや人余りだったのだと思う。女性の労働力も新たに入ってくるし、世界からもどんどん安い労働力が入ってきた。ここへ来て、世界の賃金はどんどん高くなっている、アジアもどんどん高くなっている。人も必ずしも十分に足りていない状況になってきた。今こそまさに内部留保、現預金といったものをしっかり活用して、人に投資するときだ。そうしないと良い人材は採れない、企業も発展していかない。不退転の決意で臨みたい。

(FNNプライムオンライン1月22日掲載。元記事はこちら

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