“未来の住宅”「エネルギー消費実質ゼロ」に 普及の課題は“「木造」ノウハウ”【沖縄発】

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消費する電力量を減らしながら太陽光で発電し、CO2の排出量を減らす住宅が注目されている。県内でも普及に向けた動きが加速している「ZEH」住宅とは。

エネルギー消費量をゼロにできる住宅

那覇市松島に建てられたこちらの住宅。
一見すると沖縄では定番の鉄筋コンクリート造りに見えるが、脱炭素の未来を見据えた最新の機能を備える省エネ住宅だ。


ZEHとは、「net Zero Energy House」エネルギー消費量を実質ゼロにできる住宅で、そのために様々な工夫が施されている。


りゅうせき建設 岡安達也さん:
すべての外側に面している壁には発泡ウレタンの吹付け断熱を施工しています。外からの熱が伝わり難いようになっています


暑い沖縄のZEH住宅に欠かせないのが断熱だ。
電球を使ったシミュレーションでは通常のコンクリートの壁が約45℃であるのに対し、発泡ウレタンの断熱加工を施した壁は28.3℃と16℃以上も下がる。


さらに、窓は二重構造になっていて内側のサッシは樹脂製とこちらも外から熱が伝わりにくい設計。


換気システムにも特殊なフィルターを通すことで、外気を取り入れる際に温度と湿度を下げる効果がある。


こうした工夫によって夏は涼しく、冬は温かい家になり、エアコンや暖房機器の使用を最小限に留める事ができる。

そして消費するエネルギーを実質ゼロにするためには、自らエネルギーを生み出さなくてはならない。

りゅうせき建設 岡安達也さん:
この住宅の電気をまかなえるくらいの太陽光(発電パネル)を載せているので。今ですね、発電量が0.76キロワット、室内での消費(電力)が0.38キロワット


省エネ、発電と環境に配慮した住宅は住む人にとってもメリットがあるという。

りゅうせき建設 岡安達也さん:
やはり一番は、住んで快適に過ごせるというところがこの建物の売りでもありまして。エアコンの温度も一定に保たれるというところで、長い目で見たときのランニングコストもだいぶメリットにつながるかなと

2030年以降の“省エネ性能確保”目標 

近年ZEH住宅が注目される背景には政府が進める地球温暖化対策の計画がある。

2022年6月に建築物省エネ法の改正が決まり、新築の全ての建物で断熱性やエネルギー消費量などを定めた「省エネ基準」を満たすことが義務化された。


2030年以降建てられる住宅については、ZEH水準の省エネ性能を確保することを目標としている。

県内のZEH住宅の普及率はまだ低い状況にあるが、社会全体で取り組むことで普及を後押しする動きも見られる。

琉球銀行は2022年9月、県内の建設業などの企業とZEH住宅普及に向けたパートナーシップ協定を締結。


加盟企業は55社で2022年11月には第1回目のセミナーを開き、ZEH住宅の基準や建設のために必要な知識を共有した。

情熱集団 玉城勝也 CEO:
省エネというのは環境に良いことなので、商品として、建物としてどういうふうにクライアントに促していくかというのが僕らの課題ですね


HOUSE DO 我如古勇哉さん:
お客さんの方も(ZEHに対して)興味はあるんですけど、実際にはどういう住宅なのっていう質問が多いので、セミナーで有益な知識とか情報が得られればお客さんに発信していきたい


銀行と建設業が協力して脱炭素社会の実現を目指すというアプローチを発案したのは、琉球銀行の川上頭取だ。

琉球銀行 川上康 頭取:
琉球銀行の融資のポートフォリオ(金融商品)というのは6割の融資が住宅関係。ここにインパクトを与えると沖縄県の脱炭素化にも大きく貢献できるのではないかと


今後の課題はノウハウの蓄積

琉球銀行ではパートナーシップ締結と同時にZEH住宅専用の住宅ローンもリリース。これまでに12件、4億円の契約が決まったということだ。


一方、これまで建設されたZEH住宅の事例は木造が多く、鉄筋コンクリート造を得意とする事業者が多い沖縄では、そのノウハウが蓄積されていないことが課題となっている。

琉球銀行 川上康 頭取:
ノウハウが無いためにZEHが普及しないというリスクがあるわけで、それを解決することが重要だと、ノウハウを持っている事業者と一緒に連携してZEHのノウハウを広げていく


ZEH住宅ローンの減税や補助金の設立など、国の政策も追い風に今後ますます普及が期待されるZEH住宅。

地球環境を守るため省エネへの社会的な意識が高まる中、私たちの生活の基盤となる住宅のあり方も変わり始めている。

(FNNプライムオンライン1月25日掲載。元記事はこちら

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