子どもの食物アレルギー“主要三大アレルゲン”小麦から「木の実類」に 予防するには「小さい頃から摂取を」【新潟発】

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子どもの食物アレルギーの原因となる主要三大食物に変動が起きている。これまでは鶏卵・牛乳・小麦だったが、近年、ナッツなどのアレルギーが急増。小麦を抜いて、木の実類が食物アレルギーの主要三大食物になった。木の実類の摂取方法について、小児科の医師に聞いた。

「木の実類」原因のアレルギー急増

「あかみ」や「じんましん」「まぶたの腫れ」、中にはアナフィラキシーショックで命の危険を伴う場合もある「食物アレルギー」。


新潟県立新発田病院・小児科の江村重仁医師は、子どもが特に注意してほしい食品を次のように指摘する。


県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
3大アレルゲン(原因となる食品)と言われるもので、昔から鶏卵・牛乳・小麦が有名だったが、近年、木の実によって食物アレルギーが誘発される方が増えてきていて、3大アレルゲンが鶏卵・牛乳・ナッツ(木の実類)に変わってきている

〈3大アレルゲン〉小麦から木の実類に変化
〈3大アレルゲン〉小麦から木の実類に変化

杉山萌奈アナウンサー:
2022年の消費者庁の調査によると、木の実類が原因のアレルギーが急増しているということです。最も多いのがクルミ。次いでカシューナッツ、またチョコレートの中などに入っていることが多いマカダミアナッツやアーモンド。そして、最近お菓子の味としてよく見かけるピスタチオも発症者が多いと言います


食物アレルギーの原因割合について、「小麦」を抜いて13.5%となり、主要3大原因食物の一つになった「木の実類」。


鶏卵・牛乳・小麦がほぼ横ばいであるのに対し、木の実類は著しく増加している。


木の実類によるアレルギーを防ぐには?

県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
木の実類は小さい頃から摂取するのが難しい食材。離乳食が終わっても、なかなか食べる機会に恵まれず、大きくなってから初めてナッツ類を食べて症状を起こす人が増えているのを実際の臨床でたくさん経験している


イギリスではこんな研究結果が。300人ずつ「ピーナツを積極的に食べさせるグループ」「なるべく食べさせないグループ」に分け、5年間経過観察をしたところ、5歳時点で積極的に食べていたグループがピーナツアレルギーを8割予防できたというのだ。


県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
この結果を受けて、他のナッツ類でも同じ効果が期待できると考え、私の外来に通っている患者は離乳食が完了した時点で、木の実類を食べるように指導している


ただ、消費者庁は5歳以下の子どもは誤嚥のリスクがあるため、「ナッツ類をそのまま食べさせないよう」呼びかけている。


このため、江村医師は「アーモンドミルク」や「クルミ豆腐」、ハンバーグやミートソースの中に砕いて入れるなどして、木の実類を摂取させてほしいと呼びかけている。


ポイントは「少量ずつ食べさせる」こと。万が一、食物アレルギーだったとしても、局所のじんましんや軽い咳込みといった軽い症状で済ませることができるからだ。


県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
木の実類の難しいところは、“隠し味”として使われてしまうところ。カレー専門店でお子さんが食べるとしたら、バターチキンカレー。レシピにもよるが、カシューナッツが10gぐらい入ることがある。ナッツの味がしないので、「おいしいけど、なんかピリピリするな」と思ってパクパク食べてしまう。結果、大量のアレルゲンを摂取してしまって、重いアナフィラキシーを起こしてしまう事例がある


県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
重症なアナフィラキシーを起こしたことがあるお子さんはエピペンを持参していただき、万が一、誤食してしまった際、ためらわずエピペンを投与してもらうのが重要


どのような料理に何の食品が使われているのか、専門医からよく指導を受けた上で食べさせることも重要だ。

杉山萌奈アナウンサー:
「食物アレルギー」と検索すると、たくさんの情報が出てきます。ただ江村医師は間違った情報も多く発信されているため、正しい知識を身につけるために、医師に相談すること、アレルギーポータルサイトを活用することを呼びかけます


そして、自宅以外では…

県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
給食の献立表を見て、食べたことがないものがあるときは、あらかじめ家で試してからのほうが一番安全

給食の献立表
給食の献立表

江村医師は、新しく幼稚園に上がる子どもや新一年生になる子どもは今から実践してほしいと呼びかけている。

県立新発田病院小児科 江村重仁 医師:
食物アレルギーのあるお子さんは、原因となった食品に対してトラウマがあって、卵アレルギーが治っても、給食に卵焼きが出て「残さず食べなさいと言われるのが苦痛です」と相談を受ける。普通の好き嫌いとはまた違うものになるので、お子さんの気持ちにも配慮してほしい


(NST新潟総合テレビ)

(FNNプライムオンライン3月2日掲載。元記事はこちら

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