電動キックボードで新たな観光 与論島で実証実験

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電動キックボードの試乗を楽しむ参加者=23日、与論町
                                     電動キックボードの試乗を楽しむ参加者=23日、与論町

鹿児島県与論町のヨロン島観光協会は2月1日から、次世代の乗り物として注目を集めている電動キックボードの実証実験を始めた。新型コロナウイルスの影響で島内経済が冷え込む中、国の地方創生交付金を活用した新たな観光の町づくりの一環。23日、町役場駐車場などでマスコミ、一般を対象とした試乗会があり、多くの参加者が電動キックボードの魅力を体験した。 

電動キックボードの実証実験は、昨年から町内の宿泊施設が宿泊客などを対象に行っていたが、今回、観光協会が沖縄・恩納村の電動キックボード事業者「Rimo」(石井光哉代表)と提携し、新たに20台を導入。町、島内観光事業者とも連携して島ぐるみの実証実験をスタートさせた。

使用する機種は最高時速約20キロ。ナンバープレートを付けると、公道での道路交通法に基づいた走行が可能で、利用には原付免許が必要。乗る人の体重や道路の勾配などにもよるが、1回4~5時間の充電で約25キロの継続走行ができるという。

観光協会のほか島内8事業所に設置され、レンタルできる。レンタル料金は1時間1000円、3時間2500円、24時間5000円。今後は、島内のカフェや商店に協力を依頼し、充電ステーションを設置する予定。今月28日まで、島民向け体験キャンペーンも実施している。

23日は試乗会に合わせて記者発表があり、関係者が出席した。観光協会の永井新孝会長は、電動キックボードによる新しい観光スタイルの提案やエコツアーへの活用、充電ステーションでの飲食や交流、環境に優しく、コロナ禍の密回避など期待される効果を強調。

山元宗町長は「町の観光業は新型コロナウイルスの感染拡大で大きな打撃を受けた。苦しいときこそ関係者が一丸となって、次世代の新しい観光の発展に向けて取り組んでいく必要があると考えている。電動キックボードがこの島の観光復活のきっかけになれば」と期待。石井代表は「目的地までの道中、ご飯を食べるなど寄り道が楽になり、その地域全体の活性化につながる。この島を皆さんと共に盛り上げていきたい」とあいさつした。

試乗会に参加した町内の山野里奈さん(23)と青木由梨香さん(23)は「乗り心地は爽快。気軽に乗り降りできるので、島を回るのにぴったりの乗り物だと思う」と口をそろえ、満足した様子。今回電動キックボードを設置した宿泊施設カーム(田畑美軒)の田畑ふよこさん(71)は「施設が市街地から少し離れた所にあるので、客の買い物にも便利だと思う。皆さんが乗るのが楽しそうなので自分も乗ってみたが、運動音痴の私でも大丈夫だった。地元の方にもぜひ利用いただきたい」と笑顔で話した。

(南海日日新聞社/全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合、元記事はこちら

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