鶴岡市のバイオベンチャー・スパイバー タイに大規模量産工場

経済・ビジネス

鶴岡市のバイオベンチャー・スパイバー(関山和秀代表執行役)が、初の海外生産拠点としてタイに建設していた構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」の大規模な量産工場が完成し、3月29日に現地で開所式を行った。試運転を経て年内に商業生産をスタートし、より効率的で環境負荷の低い生産技術の開発にも取り組む。開所式で関山代表執行役は「このマザープラントを拠点にタイ政府ともしっかりと手を取り合い、持続可能な社会の実現のための地球規模のインフラづくりに、グループ一丸となって全力で取り組んでいく」と述べた。

子会社のスパイバー・タイランド(森田啓介代表取締役)が、タイの首都・バンコクの東南、ラヨン県にあるイースタンシーボード工業団地内に約10ヘクタールの敷地を確保し、製造棟とオフィス棟を整備した。製造棟は鉄筋コンクリート造り3階建てで、微生物を発酵、精製して各種製品の原料となる構造タンパク質を生産する。鶴岡市のサイエンスパーク内にある本社パイロットプラントの約100倍の規模となる年間最大数百トンの量産を計画。粉末の状態で日本に運び、鶴岡の本社施設で繊維などに加工する。タイ工場の従業員は約40人で、このうち本社からの出向は約15人。

微生物の発酵には養分となる糖が必要。タイはサトウキビなど糖の原料が豊富にあり、初の海外生産拠点を同国に整備していた。開所式には日本、タイ両国政府の関係者も含めて約50人が出席。テープカットなどを行い、森田代表取締役が「この工場の完成は、これから始まるタンパク質素材時代の幕開けを意味する。セラミック、鉄、プラスチックに続く新たな基幹素材として、タンパク質が人類社会の発展に貢献できるように努力する」とあいさつ。関山代表執行役はオンラインで参加した。

スパイバーが生産する構造タンパク質は、繊維をはじめ樹脂、フィルム、ゲル状など多様な素材への加工が可能で、石油など化石資源に依存せず環境負荷の低い、持続可能な次世代基幹素材として注目されている。国内外の多分野の企業や研究機関と共同研究開発を進めている。昨年10月には、穀物メジャーの米国ADM社と協業契約を結び、米国へも生産拠点を拡大することを発表している。スパイバーは「タンパク質素材の需要増加に伴い、世界各地での製造拠点の増設が見込まれ、タイの工場をモデルにした他工場への技術移転も視野に入れている。一日も早くブリュード・プロテイン素材や製品を届けられるよう製品・技術開発を進め、事業基盤の構築に努める」としている。



(荘内日報社 全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合。元記事はこちら

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