”移動市役所”運用へ 来年度から長野県伊那市

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記者会見で握手を交わす(右から)モネ・テクノロジーズの柴尾嘉秀副社長、白鳥孝市長、NTT東日本長野支店の榎本佳一支店長
記者会見で握手を交わす(右から)モネ・テクノロジーズの柴尾嘉秀副社長、白鳥孝市長、NTT東日本長野支店の榎本佳一支店長

長野県伊那市は7日、コミュニティーバスの長谷循環バスを使って行政サービスを提供する「モバイル市役所」について、来年度から運用を始めると発表した。情報通信インフラを搭載したバスが地域に出向き、各種証明書の発行など市役所の窓口業務を行う仕組み。路線バスを複数の用途に活用するマルチユースの取り組みは全国初という。

先端技術を活用して地域課題の解決を図る新産業技術推進事業の一環。市は高齢化に伴う移動困難者の増加などの課題に対応するため、モビリティー(移動手段)とサービスを組み合わせた「MaaS」と呼ばれる取り組みを積極的に進めており、既に「医療MaaS」として移動診察車による「モバイルクリニック」を実施している。

今回は「行政MaaS」と位置付け、長谷循環バスの日中の空き時間を活用し”移動市役所”として行政サービスを提供する。車内にはテレビ電話システムなどを整備。市役所とオンラインで結び、マイナンバーカードの申請受け付けや各種証明書の発行、行政相談などの窓口業務をオンラインで行う。選挙時には移動式の期日前投票所として運用することも検討する。

移動手段がなく、市役所に出向くことが困難な高齢者や身体障がい者などの利用を想定。バスには利用者を手助けする専門支援員(コンシェルジュ)が乗り、申請や相談の取り次ぎを行う。コンシェルジュは集落支援員の制度を活用して新たに募集する。

市は来年度の運用開始に向けて車両の改装やシステムの構築をモバイルクリニック事業でも実績のあるモネ・テクノロジーズ(東京)と通信大手のNTT東日本(同)に委託。事業費は3800万円。国の地方創生推進交付金の採択を受けて取り組む。

同日、市役所で記者会見した白鳥孝市長は「利便性の向上や幸福度のアップ、SDGs(持続可能な開発目標)の視点からも事業を始めていきたい」と力を込めた。

(長野日報社 全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合。元記事はこちら

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