AIで飼育環境管理 食用コオロギのクリケットファームが新工場

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開設した新工場を案内する坪井社長
開設した新工場を案内する坪井社長

食用コオロギの養殖、加工、販売を手掛けるクリケットファーム(長野県岡谷市川岸上、坪井大輔社長)が茅野市玉川に新工場を開設し、養殖を始めた。11日からオープンイベントを開催し、工場内やコオロギの粉末を使ったパンや菓子などを販売する直売所を公開した。イベントは14日まで。

同社は昨年8月に岡谷市に食用コオロギの養殖、食品に加える粉末などに加工する工場を開設。大量に養殖し、加工する技術を蓄積するとともに拡大する需要に応えるため新たな養殖工場の開設を目指してきた。

新工場は敷地面積約1400平方メートル、建物は約1200平方メートルの平屋建てで、最大年間約1600万匹を養殖できる体制を整えた。

工場内には飼育ケースが約4000箱ある。コオロギを粉末にする過程で油を抽出し、髪や肌用の化粧品の原料にもする。岡谷工場と合わせ、年間約6トンの出荷を目指すという。工場内の飼育環境はAI(人工知能)が管理し、最適な温度と湿度を保つ。近く飼育ロボットを導入する予定。

隣接する直売所ではコオロギの粉末を使ったチュロスやホットドック、コオロギの飼育セットなどを販売する。

昆虫食は国連食糧農業機構(FAO)が世界の食料問題の解決策の一つとして推奨し、多くの国で食されているが、日本では抵抗を感じる人も少なくない。牛や豚と比べると、生産に必要な飼料、水、敷地は圧倒的に少なく、地球環境への負荷が小さい。昆虫食に対する正しい理解を深め、抵抗感を減らしていこうとする思いを工場内や直売所に流れる映像、案内パネルなどで表現した。

坪井社長は「今後、世界が直面する食糧危機で私たちがタンパク源を補う手段としてコオロギが注目され、今後、市場拡大が見込まれる。生産力を強化するとともに日本人が持つ昆虫食に対するイメージを変えていきたい」と話していた。

オープンイベントは14日まで。通常1人300円かかる工場見学を無料にするほか、チラシ持参でコオロギパウダー入りクッキーを進呈する。

(長野日報社 全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合。元記事はこちら

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