「おりこうにします」 鬼の洗礼 奇習アマハゲ 吹浦3集落来訪

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「遊佐の小正月行事」の一つとして国の重要無形文化財に指定され、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産にも登録されている奇習「アマハゲ」が3日夜、遊佐町吹浦地区の女鹿(めが)集落で繰り広げられた。

アマハゲは、「浦通り」と呼ばれる同地区の秋田県境に近い滝ノ浦、女鹿、鳥崎の3集落に伝わる行事で、それぞれ元日、3日、6日に行われる。鬼や翁などの面をかぶり、わらみのを幾重にも巻いた姿で奇声を発しながら家々に上がり込み、時には子どもたちを玄関に放り出して勤労を促す。一方、お年寄りの肩をもみ長寿を祈る。山から降りてくる神の化身とされ、住民は酒などを提供しねぎらう。秋田県男鹿地方の「ナマハゲ」と異なり通常、言葉は出さない。

女鹿は約50世帯の集落。前年に不幸があった家庭にアマハゲは上がれず、高齢世帯などはもてなしが難しいなどの理由で今年は十数軒だけが対象になった。午後4時過ぎ、集落の鎮守・八幡神社を出発。太鼓を鳴らしながら中心通りを巡行し、来訪を告げた。

アマハゲの洗礼を受けると健康に育つといわれ、両親や祖父母らは子どもたちをアマハゲの前に。母親の実家に帰省していた秋田県にかほ市の保育園児、石井樹音(じゅね)ちゃん(4)は、伯母にしっかり抱きつきながら「おりこうにします」「いい子になります」と涙声で誓っていた。

赤鬼(左)に迫られ男の子が泣き出した=3日、女鹿集落
赤鬼(左)に迫られ男の子が泣き出した=3日、女鹿集落

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