65年の教員人生に幕 苫高商の非常勤英語講師、岩瀬さん

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苫小牧高等商業学校の非常勤英語講師、岩瀬義一さん(89)=苫小牧市しらかば町=が、今年度で65年間の教員人生に終止符を打つ。定年退職後も地域の子どもたちの英語力向上を目指し、卒寿目前まで英語教育に力を注いできた。「教壇に立ち続けた人生だった。もう最初の教え子は70代にもなる」と感慨深げだ。

1年生の授業で英語を教える岩瀬さん
1年生の授業で英語を教える岩瀬さん

山形県上山市生まれ。太平洋戦争が終結した翌年の1946年に中学校に入学した。担任教諭の熱心な指導の影響で、英語に興味を抱き、山形大学教育学部で英語を専攻。当時、同大の卒業生の多くが苫小牧で働いていたことから自身も―と、勇払中で教員生活を歩みだした。

弥生中に勤めていた68年、道教委主催の英語教員海外研修試験に合格して1年間米国に滞在。異国の地で日本語や日本の歴史を教えたり、現地の高校を視察したりした。翌年からは英語検定にも携わり、94年の和光中勤務を最後に定年退職した。

その後は市内の中学校数校で新任教員の指導に携わったほか、苫小牧南高校や中央高校で非常勤講師を務めた。

生徒たちには「『(英語は)声に出して読みなさい』と言い続けてきた」と岩瀬さん。英語に興味を持ってもらうため、必ずウオーミングアップとして身近な英会話を紹介してきた。時には1分間のスピーチをしたり、日本語のことわざを英語で披露したりしてきた。

「What day of the week is it today?(きょうは何曜日ですか)」―は、授業の冒頭に必ず生徒にする質問だ。

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苫小牧高等商業学校への赴任は2020年。岩瀬さんの経歴に関心を持った同校の依頼で、時間講師となり週に8時間、1、2年生の英語コミュニケーション授業を担当してきた。

いつも授業の最初には月日と曜日を英語でノートに書かせ、新聞やテレビに登場する言葉の英語での言い回しについてや、英検の問題などを1問出題。受験英語にはないことも学びたい―という生徒たちのリクエストに応えたものだ。

1年の津久井大地さん(16)は「年齢を聞いてびっくり。中身の濃い授業で英語力が鍛えられた」と話す。猪瀨徹校長は「声が大きく、板書もきれいでもっと続けてほしい気持ち。一般的には再雇用は70歳ぐらいまでで、そこから20年近くも活躍し続けているのは異例」と語る。

岩瀬さんは「素直な子が多かった」と教員人生を振り返り、教え子たちには「興味を持ったことは継続してほしい」とエールを送る。年齢を考慮し、3月末で教員人生に区切りを付けるが「来年度以降は不登校生や障害を抱える子どもたちのため、何かボランティアとして手伝えることがないか考えているところ」と次なる目標を明かした。

(苫小牧民報社 全国12新聞社加盟 全国郷土紙連合。元記事はこちら

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