「ハンセン病への差別撤廃を」:パラアスリートも参加し、グローバルアピール2020を宣言

社会

東京五輪・パラリンピック開催年の2020年。ハンセン病への差別撤廃を訴える「グローバル・アピール2020」が東京で1月27日、患者・回復者のほか、国際パラリンピック委員会(IPC)やトップ・パラアスリートが参加して行われた。

同アピールは世界ハンセン病の日(1月最終日曜日)に合わせ、世界保健機関(WHO)ハンセン病制圧大使を務める笹川陽平・日本財団会長の提唱で、2006年に開始。世界の主要都市で毎年、各地の宗教指導者や政治指導者、法曹界や医師会、人権活動団体などとともに「差別撤廃」のメッセージを発信してきた。

東京五輪・パラリンピックが開催される2020年は、4年ぶりに日本で開催。国際パラリンピック委員会(IPC)と共同で、ハンセン病の差別をなくし共生社会を目指す宣言となった。

アピール式典では、笹川会長が「IPCとグローバルアピールを発信できることは光栄だ。東京でのパラリンピアンの活躍は人々に大きな感動を与え、インクルーシブな社会の実現を発信する大きな機会となる」とあいさつした。ハンセン病回復者家族代表としてインドから参加したチャンドラ・プラカシュ・クマールさんは、「私の将来の夢は、故郷にレストランを開くこと。差別の撤廃は夢を与えることです」と話した。

ハンセン病回復者家族代表として、差別の撤廃と自らの夢を語ったクマールさん
ハンセン病回復者家族代表として、差別の撤廃を訴えたクマールさん

その後、車いすラグビー日本代表の池透暢(いけ・ゆきのぶ)選手と日本財団パラリンピックサポートセンターのマセソン美希さん(1998年長野パラリンピック大会金メダリスト)が「パラリンピック・イヤーである2020年、われわれは社会的烙(らく)印と差別の撤廃を求め、ハンセン病回復者と立ち上がります。私たちは共に、全ての人に尊厳と基本的な自由が尊重される社会の実現を追求していきます」との宣言を読み上げた。

式典には安倍晋三首相、加藤勝信厚生労働相、東京五輪・パラリンピック大会組織委の森喜朗会長らも出席。全盲のシンガーソングライター木下航志さん、2008年北京、12年ロンドンパラリンピックで競泳に出場したバイオリニストの伊藤真波さんが、音楽パフォーマンスを披露した。

左から伊藤さん、木下さん、手話パフォーマーの「イッチロー」こと橋本一郎さん
左から伊藤さん、木下さん、手話パフォーマーの「イッチロー」こと橋本一郎さん

バナー写真:宣言を読み上げる池選手とマセソンさん、登壇者たち

日本財団 人権 ハンセン病 差別