高齢者施設でのクラスター防げ! : 都内エッセンシャルワーカーに毎週、無償PCR検査―日本財団

健康・医療 社会 暮らし

新型コロナウイルスの感染第3波は年末以降、一段と勢いを増し、医療現場の負担も重くなっている。日本財団が実施するエッセンシャルワーカーへのPCR検査支援は、重症者リスクの高い高齢者の感染を未然に防ぐことで、クラスターを発生させない、医療崩壊を起こさないことを目指す。

日本財団は19日、東京都内の高齢者福祉施設・療養型病院で働くエッセンシャルワーカーを対象に、希望に応じて2月から7月まで毎週1回の新型コロナウイルスのPCR検査を無償提供すると発表した。

日本はコロナ感染拡大第3波の真っただ中にあり、各地の高齢者施設でクラスターの発生が相次いで報告されている。その発生源となっているのが、施設で働く介護職員などのスタッフだ。実際に感染していなくても、自身が感染・媒介することの不安や重圧で、精神的に追い詰められるケースも少なくないという。

こうした施設職員を高頻度で繰り返し検査することで、無症状の感染者を早い段階で捕捉し、ハイリスクな高齢者への感染を未然に防げば、クラスターの発生を回避できる。しかし、無症状の人がPCR検査を受ける場合は、高額な自己負担を必要とするため、受けたくても受けられない人が多いのが現状だ。

日本財団では、品川区・お台場の「日本財団災害危機サポートセンター」内にPCR検査センターを新設。都内2884施設で医療・介護に従事するスタッフ19万人のうち希望者を対象に、2月から7月までの間、毎週1回、定期PCR検査を無償で提供する。事業規模200億円で、のべ200万人分の検査実施を目標とする。

日本財団PCRセンターでは川崎重工の自動PCR検査システムを活用する(写真提供 : 川崎重工業)
日本財団PCRセンターでは川崎重工の自動PCR検査システムを活用する(写真提供 : 川崎重工業)

検査で陽性者が発見された場合には、その施設の入居者全員や陽性者の家族に対する追加検査の実施、感染した職員が療養治療している間の職員補充に関わる費用を助成するなど、アフターフォロー体制も整える。

日本財団の笹川陽平会長は、「命よりも大切なものはない。PCR検査を充実させることで、抵抗力の弱い高齢者を守り、周辺の医療機関の医療崩壊を防ぐことにもつながる」と意義を強調した。

バナー写真 : 高齢者施設職員へのPCR検査支援を発表する、日本財団の笹川陽平会長(日本財団提供)

高齢者 日本財団 コロナウイルス クラスター 新型コロナウイルス PCR検査