2021年 スポーツニュースを振り返る
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コロナ下で東京五輪・パラリンピック開催
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で1年延期となった東京五輪が7月23日から8月8日までの17日間、パラリンピックが8月24日から9月5日までの13日間、それぞれ開催された。東京はこの期間、「第5波」となる感染拡大のまっただ中にあり、緊急事態宣言が常時発令していた。このため、両大会とも原則無観客で行われた。
日本は五輪で過去最多となる58個のメダルを獲得。卓球混合ダブルスで水谷隼、伊藤美誠ペアが優勝し、五輪の卓球競技で初の金メダルを手にしたほか、2008年北京五輪以来の開催となった野球、ソフトボール競技でいずれも世界一に輝いた。パラリンピックでは、日本は史上2番目に多い51個のメダルを獲得した。
東京五輪の聖火リレーは3月25日、福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」(楢葉町、広野町)でスタート。開会式までの121日間、約1万人のランナーが聖火をつないだ。開会式での最終点火者は、女子テニスの大坂なおみだった。

東京五輪の開会式で聖火台に点火した最終聖火ランナーのプロテニス選手の大坂なおみ=2021年7月23日、東京・国立競技場(時事)
2021年の年初から開幕まで、運営側の不祥事やスキャンダルが相次ぎ、東京五輪・パラリンピック組織委員会は大揺れに揺れた。組織委の森喜朗会長が2月、女性蔑視発言の責任を取って辞任した。後任には橋本聖子氏が五輪担当相を辞職した上で就任した。
3月には組織委と東京都、政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の各代表による5者会談が開かれ、大会時の海外客受け入れ断念を正式に決めた。6月の5者協議では「会場定員の50%以内で最大1万人」との観客上限を決めたが、7月には「原則無観客」に変更。チケット販売をめぐって混迷が続いた。
大会開幕直前の7月には、過去の「差別・いじめ」言動が批判された開会式の音楽制作担当者、ミュージシャンの小山田圭吾氏が辞任。次いで開閉会式のショーディレクターが、過去の反ユダヤ的発言が問題視されて解任された。
松山英樹がマスターズ優勝
4月11日、男子ゴルフのマスターズ・トーナメント(米オーガスタナショナルGC)で松山英樹(29)が優勝し、日本男子初のメジャー大会初制覇を遂げた。4打差の首位で出た最終日は4バーディ、5ボギーの「73」でプレーし、通算10アンダーの1打差で逃げ切った。

ゴルフのマスターズ・トーナメントで優勝し、グリーンジャケットを着て喜ぶ松山英樹=2021年4月11日、米ジョージア州オーガスタ(AFP=時事)
6月6日、ゴルフの全米女子オープンで、笹生優花(19)が畑岡奈紗(22)とのプレーオフを制し、日本勢初優勝を果たした。19歳11カ月の優勝は、大会最年少記録。
東京五輪の女子個人では、稲見萌寧(22)が銀メダルを獲得。稲見は2021年の賞金女王にも輝いた。
「二刀流」大谷翔平が大活躍
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平(27)が投打の「二刀流」で大活躍。選手間投票で選ぶ両リーグを通じた年間最優秀選手(プレーヤー・オブ・ザ・イヤー)、ア・リーグ最優秀選手(MVP)にそれぞれ選ばれた。大谷は今季、投手として23試合に登板し9勝2敗、防御率3.18。打者としては本塁打46本、打率2割5分7厘、出塁率と長打率を合計したOPSが .965と、投打にわたって一流の成績を残した。出場試合は155(全試合数は162)と、シーズンを通じてフル回転。7月のオールスターにも初出場し、特別ルールによって先発投手と1番指名打者(DH)でプレーした。
白鵬引退、照ノ富士が横綱昇進
大相撲では横綱・白鵬が9月に引退し、年寄「間垣」を襲名した。2020年から6場所連続で休場した白鵬は7月、名古屋場所に進退をかけて出場。千秋楽に全勝対決となった大関・照ノ富士を下し、45度目の優勝を果たした。
春場所、夏場所と連続優勝した照ノ富士は、名古屋場所後に横綱に昇進。新横綱誕生は17年の稀勢の里以来で、令和では初めて。照ノ富士は秋場所、九州場所(全勝)も制し、年4回優勝と圧倒的な強さを示した。

大相撲九州場所千秋楽で照ノ富士(右)は押し出しで貴景勝を下して全勝=2021年11月28日、福岡国際センター(時事)
初場所は平幕の大栄翔が初優勝。3月には横綱・鶴竜が現役引退した。
プロ野球はヤクルトが日本一に
2021年のプロ野球は試合数が143(うち交流戦18)、新型コロナ対策もあって「延長戦なし」のルールで実施。また7月19日から8月12日の間、東京五輪開催に伴い中断期間を設けた。
セ・リーグはヤクルト・スワローズが6年ぶり8度目の優勝。パ・リーグはオリックス・バファローズが25年ぶりの優勝を果たした。昨季は最下位に沈んだ両チームの対戦となった日本シリーズは、ヤクルトが4勝1敗で日本一に輝いた。最優秀選手(MVP)には、セはヤクルトの村上宗隆内野手、パはオリックスの山本由伸投手がともに初めて選出された。

20年ぶり6度目の日本一に輝き、胴上げされるヤクルトの高津臣吾監督=2021年11月27日、ほっともっとフィールド神戸(時事)
21年は、米ヤンキースでプレーしていた田中将大が8年ぶり楽天に復帰。またシーズン後に西武の松坂大輔、日本ハムの斎藤佑樹らスター選手が現役引退した。
川崎がサッカーJ1連覇
2021年のサッカーJ1リーグは2月から12月に38節の日程で行われた。昨季は新型コロナウイルスの影響で降格なしの特例措置が取られた一方、J2からは2チームが昇格。このため、例年よりも多い20チームが競った。
昨季優勝の川崎フロンターレが圧倒的な強さを見せつけ、終盤の4試合を残して11月3日に早々と連覇を決めた。最終成績は28勝8分2敗。勝ち点92は歴代最多を更新した。最優秀選手賞(MVP)は、来日3年目で初の得点王に輝いた川崎のブラジル人FWレアンドロ・ダミアン(32)が初受賞した。得点王はダミアンと横浜の前田大然(24)の2人で、ともに23得点。
天皇杯は決勝が12月19日に国立競技場で行われ、浦和レッズが大分トリニータに2ー1で勝ち、3シーズンぶりに優勝した。
9月12日、国内初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が開幕した。欧州と開催時期を合わせた秋春制で実施し、11チームが22年5月まで全110試合を行う。
バナー写真:米大リーグのオールスターゲームに先発登板し、力投する大谷翔平=2021年7月13日、米デンバー(AFP=時事)