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日本彫刻の最高峰が東京へ:特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」

美術・アート イベント

鎌倉時代の国宝仏7体が一堂に会す

上野・東京国立博物館で“国宝の殿堂”を再現する特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」が開催。会期は9月9日から11月30日まで。

710年の平城京遷都と共に創建された奈良・興福寺は、時代を超えた文化財の宝庫。中でも鎌倉時代初期に再建された北円堂には、希代の仏師・運慶(1150-1224)率いる工房が手掛けた仏像群が並んだ。

運慶は写実性と力感にあふれた木彫で仏教美術の金字塔を打ち立て、現存作品の全てが国宝・重要文化財に指定されている。本展では晩年の最高傑作・弥勒如来坐像(みろくにょらいざぞう)を中心に、“日本彫刻史上の到達点”といわれる国宝7体を披露する。

北円堂の本尊・弥勒如来坐像。脇に立つのが無著菩薩立像(右)と世親菩薩立像(左)
北円堂の本尊・弥勒如来坐像。脇に立つのが無著菩薩立像(右)と世親菩薩立像(左)

印を結ぶしなやかな指先からは、奈良時代の如来像への崇敬が感じられる
印を結ぶしなやかな指先からは、奈良時代の如来像への崇敬が感じられる

美しく波打つ衣など、後ろ姿まで精巧に造り上げられている
美しく波打つ衣など、後ろ姿まで精巧に造り上げられている

鎌倉時代の北円堂に安置された運慶仏7体が東京・上野に勢ぞろいし、当時の陣容を再現!
鎌倉時代の北円堂に安置された運慶仏7体が東京・上野に勢ぞろいし、当時の陣容を再現!

寺外公開は約60年ぶりとなる北円堂の本尊・弥勒像は、穏やかでありながら圧倒的な存在感を放つ。両脇の無著菩薩立像(むじゃくぼさつりゅうぞう)と世親(せしん)菩薩立像は、古代インドの思想家兄弟をモデルとし、水晶を用いた瞳や衣のしわなど極めて写実的だ。

そして四方を守護する四天王立像は、筋肉の張りや躍動的なポーズが迫力満点。800年の時を超えて完全再現された祈りの空間に立てば、運慶芸術の神髄を感じられるだろう。

運慶が得意とした玉眼の技法が光る無著と世親
運慶が得意とした玉眼の技法が光る無著と世親

現在は中金堂に安置される四天王立像も全て国宝。左から持国天、増長天、広目天、多聞天
現在は中金堂に安置される四天王立像も全て国宝。左から持国天、増長天、広目天、多聞天

増長天の表情から、本尊に邪鬼を近づけまいとする気迫が伝わってくる
増長天の表情から、本尊に邪鬼を近づけまいとする気迫が伝わってくる

展示室入口に飾られる北円堂の写真(右)
展示室入口に飾られる北円堂の写真(右)

特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」

  • 会期:2025年9月9日〜11月30日
  • 会場:東京国立博物館 本館特別5室(東京都台東区上野公園13-9)
  • 開館時間:午前9時30分〜午後5時(入館は閉館30分前まで) ※毎週金・土曜日および9月14日、10月12日、11月2日・23日は午後8時まで開館
  • 休館日:9月29日、10月6日・14日・20日・27日、11月4日・10日・17日・25日
  • 料金:一般1700円、大学生900円、高校生600円 ※中学生以下は無料
  • 公式ホームページ:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/unkei2025/

取材・文・写真=ニッポンドットコム編集部

バナー写真:興福寺北円堂の本尊・弥勒如来坐像、脇侍の無著と世親

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