五輪組織委の森会長、「女性が」発言撤回 辞任は否定

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東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、自身の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」との発言が波紋を広げていたことを受け4日、会見を開き発言を撤回した。写真は日本オリンピックミュージアム前の五輪のサイン、2020年3月撮影(2021年 ロイター/Stoyan Nenov)
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、自身の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」との発言が波紋を広げていたことを受け4日、会見を開き発言を撤回した。写真は日本オリンピックミュージアム前の五輪のサイン、2020年3月撮影(2021年 ロイター/Stoyan Nenov)

[東京 4日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は4日午後、「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」とした自身の言葉が波紋を広げたことを受け会見し、発言を撤回した。会長を辞任する意向は否定した。インターネット上や街では厳しい声が相次いでいる。

森会長は記者団を前に会見し、「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な発言だったと認識し、深く反省している」と謝罪した。辞任の意向を問われた森氏は「自分からどうしようという気持ちはない」と答える一方、「邪魔だと言われれば、おっしゃる通り、老害が粗大ごみになったのかもしれませんから、そうしたら掃いてもらえばいいのではないか」と語った。

前日の同会長の発言は国内外のメディアが報じ、ソーシャルメディア(SNS)上では女性蔑視との批判が広がった。

森会長は3日、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会に出席。共同通信によると、「女性理事を選ぶっていうのは文科省がうるさく言うんです。だけど、女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言。「女性っていうのは競争意識が強い。誰か一人が手を挙げて言われると、自分も言わないといけないと思うんでしょうね。それで、みんな発言される」とも語った。

ロイターは3日夜、日本のメディアを引用する形で森会長の発言を報道。米ニューヨーク・タイムズ紙は発言を紹介した上で、SNS上で批判が起きているなどと報じた。

短文投稿サイトのツイッターでは、「森喜朗氏は引退してください」が話題の言葉となった。共産党の志位和夫委員長は「愚かで恥ずかしい女性蔑視発言だ」、「ただちに辞任すべきだ」と投稿。立憲民主党の蓮舫参議院議員は「オリンピック憲章『いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解し合うオリンピック精神』以前に恥ずかしいです」と書き込んだ。

街でも森会長の発言に否定的な声が聞かれた。埼玉県に住む会社員の山田恵一さん(39)は「そういう人がトップにいることも問題ですし、これを機に辞めたほうがいいのかなと思う」、神奈川県に住む主婦の佐藤真由美さん(53)は「男女雇用均等法で変わったはずなのに、そういう発言をする人を組織のトップにしているのは間違っている」と話した。

森会長を巡っては、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが3日、別の発言に言及。その上で、東京五輪の聖火ランナーを辞退する考えを明らかにした。

田村さんは動画投稿サイトのユーチューブで、「どんな形であっても開催するんだという、ちょっと理解不能な発言をされていらっしゃった」と述べ、メディアなどで流れる森会長の発言に言及。「聖火ランナーを辞退させていただこうと思っている」と語った。

田村さんは、五輪は中止より延期すべきと考えているとした上で、「国民全体の行動に制限がかかっていることをいち早く解決するのが優先と思う」と述べた。「インフルエンサーとしての力を持って仕事をしている。沿道に人を集める必要がないのであれば、タレントは身を引くべきだと感じた」とも語った。

田村さんは3月25日に始まる聖火リレーで、愛知県犬山市を走る予定だった。

会見でこの問題も問われた森会長は「タレントさんが来るとファンが集まって密になる。それをどう避けられるかという話だ」、「私は(著名なタレントに)走ってくださいとも走ってくださるなとも言う立場ではない」と話した。

*内容を追加しました。

(宮崎亜巳 久保信博 石田仁志 朝重彰、編集:田中志保)

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