ホンダの今期、コストダウンで上方修正 半導体不足が足かせ

経済・ビジネス

ホンダは9日、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)予想を前年比17.9%増の5200億円に上方修正したと発表した。写真は同社のロゴ、2019年3月、ジュネーブモーターショーで撮影(2021年 ロイター/Pierre Albouy)
ホンダは9日、21年3月期の連結営業利益(国際会計基準)予想を前年比17.9%増の5200億円に上方修正したと発表した。写真は同社のロゴ、2019年3月、ジュネーブモーターショーで撮影(2021年 ロイター/Pierre Albouy)

[東京 9日 ロイター] - ホンダは9日、2021年3月期の連結営業利益(国際会計基準)見通しを従来予想から1000億円積み増し、前年比17.9%減(訂正)の5200億円に上方修正した。新型コロナウイルスの感染拡大や半導体不足の影響を見込むものの、コストダウン効果や販管費の抑制がこれを吸収するとみている。

IBESがまとめたアナリスト21人のコンセンサス予想では、21年3月期通期の連結営業利益の平均値は4412億円。

倉石誠司副社長はオンライン会見で「半導体供給不足の影響がなければ、為替影響を除くと、コロナ禍の影響を吸収し、昨年を上回るレベルの見通しが報告できた」と述べた。

四輪車の販売計画は半導体の供給不足で従来計画から10万台減少の450万台に見直した。前年実績は479万台。半導体の不足はホンダの売れ筋車種に影響しており「各地域で生産機種の入れ替えや台数調整を図ったが影響は避けられなかった」(倉石副社長)という。利益影響額への言及は控えた。

一方、倉石副社長は、半導体メーカーが増産を進めるなどしており、今年前半には影響は収まるだろうと説明。今後も機種の入れ替えなど調整することで「来期への影響は基本ゼロと見ている」と述べた。今後は、半導体在庫のあり方などの見直しを図る考え。

二輪車の販売計画は、インドやインドネシアの計画の上方修正を踏まえ20万台上乗せの1500万台とした(前年は1934万台)。耕運機や発電機などのライフクリエーション事業は550万台(同570万1000台)で据え置いた。

通期の研究開発費の見通しは200億円減額の8000億円とした(前年は8214億円)。設備投資額は3500億円(前年実績3756億円)で据え置いた。

純利益は従来の減益予想から一転、前年比2.0%増の4650億円に上方修正した。営業利益予想の上方修正のほか、好調だった中国合弁会社の利益、ケーヒンとショーワ、日信工業の関連会社3社と日立オートモーティブシステムズとの経営統合を巡る減損損失の戻し入れを反映した。

年間配当予想は、従来予想から1株当り14円引き上げ82円とした。不透明な事業環境なものの、事業体質見直しによる収益改善を踏まえる。前期実績は112円。前提為替レートは1ドル105円。

20年4─12月期の営業利益は前年同期比30.1%減の4470億円だった。年度前半のコロナ影響が響いたが、業績は回復基調にある。10―12月期の営業利益は前年同期比66.6%増の2777億円へと増益になった。売上変動・構成差の改善や販管費削減、コストダウン効果、研究開発費の効率化が利益の押し上げに寄与した。

*本文1段落目の営業利益予想を前年比「17.9%増」から「17.9%減」に訂正します。

(平田紀之 編集:青山敦子、久保信博)

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