ルネサス、1カ月以内に生産再開 火災前の出荷水準には3─4カ月

経済・ビジネス

3月30日、 ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼CEOは火災が発生した那珂工場について会見し、1カ月以内としていた生産再開の確実性が高まっていることを明らかにした。写真は2017年4月、東京で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)
3月30日、 ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼CEOは火災が発生した那珂工場について会見し、1カ月以内としていた生産再開の確実性が高まっていることを明らかにした。写真は2017年4月、東京で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 30日 ロイター] - ルネサスエレクトロニクスの柴田英利社長兼最高経営責任者(CEO)は30日、火災が発生した那珂工場(茨城県ひたちなか市)について会見し、1カ月以内としていた生産再開の「確実性が高まっている」ことを明らかにした。ただ、火災前の出荷量を回復するには3─4カ月かかる。世界的に半導体が不足する中で、自動車などの生産に影響が広がる可能性がある。

火災の影響で交換や修理が必要な製造装置の台数は、当初公表していた11台から23台に増えた。一方、すでにラインに乗っていた作業中のウエハーは、4分の3程度が使用可能と説明した。クリーンルームの復旧は「当初想定より少し前倒しで進んでいる」(柴田社長)という。交換が必要な製造装置は4月中旬から順次、設置が始まる。

テスト工程などにあった仕掛品の在庫が尽きる4月下旬から、出荷は一時停止する。ライン上にあった仕掛品の出荷が再開するのは火災から60日目ごろの見通し。他工場や外部委託先での代替生産も進める。代替生産の出荷が始まるのは火災から90日目ごろとみている。

柴田社長は、外部の委託先から「通常では考えられないような協力」を得られたと説明。「7―12月期に、失われた生産を取り戻していく」とした。売上高への影響は175―240億円と試算しており、一時費用として在庫や固定資産の減損、修繕費などで「2桁億円の後半」(新開崇平執行役員兼CFO)を見込む。

自動車用半導体を主に手掛ける那珂工場では、19日未明に火災が発生。火災が起きたのは先端品を扱う300ミリラインのめっき装置。21日に会見した柴田社長は「なんとか1カ月以内での生産再開にたどり着きたい」と述べていた。

*内容を追加して再送します。

ロイター通信ニュース