みずほFG社長「過去の教訓生かせず」、システム障害で対応策

経済・ビジネス

4月5日、みずほフィナンシャルグループ(FG)はみずほ銀行で相次いだシステム障害を受け、5月末までに事業継続計画(BCP)を見直すなどの対応策を発表した。写真はみずほのロゴ。都内で2015年5月撮影(2021年 ロイター/Yuya Shino)
4月5日、みずほフィナンシャルグループ(FG)はみずほ銀行で相次いだシステム障害を受け、5月末までに事業継続計画(BCP)を見直すなどの対応策を発表した。写真はみずほのロゴ。都内で2015年5月撮影(2021年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 5日 ロイター] - みずほフィナンシャルグループ(FG)は5日、みずほ銀行で相次いだシステム障害を受け、5月末までに事業継続計画(BCP)を見直すなどの対応策を発表した。みずほ銀で大規模なシステム障害起きるのは3回目。会見した坂井辰史社長は「過去の経験が十分に生かせていない」と語った。

みずほFGはこの日、システム障害の対応状況について中間報告を公表した。5月末までにBCPを、6月末までにシステム継続計画(SCP)を直す。想定されるシナリオを追加するほか、休日や夜間の対応力を向上、現金自動預け払い機(ATM)センターとの連携を強化する。システム部門はすでに9人増員した。

坂井社長は「金融機関としての役割を今いちど自覚し、顧客や社会からの信頼を早期に取り戻すべく全力で取り組む」と述べた。経営責任については「社長は責任がある立場なので、責任取る覚悟は日々持っていなければいけない」と語ったが、それ以上は踏み込まなかった。

みずほ銀のシステム障害は、2月28日から約2週間で4件発生した。このうち外貨建て送金に遅れが生じた3月12日の障害は、日立製作所が保有・管理する機器が故障したことで発生。バックアップ機器への切り換えもできなかった。

みずほFGはこの日公表した原因分析で、万一に備えて日立側の早期復旧手順と体制が確立されていなかったと指摘。坂井社長は、責任はすべてみずほにあるとする一方で、「少なくとも(復旧に)7時間もかけることは想定されていない」と発言。「契約の関係にのっとって(日立に)しかるべき対応していく」と述べた。

日立はコメントを発表し、機器が故障したことを謝罪。みずほ銀の調査に協力し、再発防止に取り組むとした。

全国に設置するATMの7割超が停止した2月28日の障害では、利用者のカードや通帳が戻らなくなる不具合が発生した。みずほ銀はこれを受け、通帳を原則返却する仕様にATMを変更したという。

みずほ銀は2002年の統合時と11年の震災時にも大規模なシステム障害を起こしている。坂井社長は「影響を極小化し、スピーディーに部門横断的に対応していくというのがまだ弱い。経営の責任においてしっかりと強靭な組織にもう一回作り上げていく必要がある」と語った。

一部報道によると、みずほFGは米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントに関連したとみられる取引で、100億円規模の損失が発生する恐れがある。

坂井社長は、業績予想に影響するような事態は発生していないと従来の説明を繰り返した。米国ではヘッジファンドなどにサービスを提供するプライムブローカレッジ業務は手掛けていないとする一方、米国みずほ証券でデリバティブ取引を行っていると説明した。

(新田裕貴 編集:久保信博)

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