日銀、今年度成長率見通し引き上げの公算 政策は維持

日銀は26―27日に開催する金融政策決定会合で、21年度の経済成長率見通しを引き上げる公算が大きい。写真は2016年9月、都内の日銀本店で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)
日銀は26―27日に開催する金融政策決定会合で、21年度の経済成長率見通しを引き上げる公算が大きい。写真は2016年9月、都内の日銀本店で撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 20日 ロイター] - 日銀は26―27日に開催する金融政策決定会合で、21年度の経済成長率見通しを引き上げる公算が大きい。米国の大型経済対策により米景気が好調に推移する見込みで、日本企業の輸出や生産を後押しする。一方、新型コロナウイルスの感染者が急増を続ける中、飲食や宿泊といった対面型サービス消費には下押し圧力が掛かる。日銀は、経済や物価の見通しには引き続き不確実性が高いことを示す見通しだ。

日銀は3月に政策点検を行い、金融緩和の長期化に備えて上場投資信託(ETF)の買い入れ手法見直しなどを打ち出したばかり。今回の決定会合では、金融政策は現状維持の見通し。

<好調な海外経済がけん引役に>

日銀は今回の金融政策決定会合で「展望リポート」(経済・物価情勢の展望)を議論し、公表する。実質国内総生産(GDP)については、2021年度の政策委員の見通し中央値が前回の前年度比プラス3.9%から上方修正される可能性が高い。

主な押し上げ要因は海外経済の好調推移と新型コロナワクチンの普及だ。前回の1月展望リポート以降、米国のバイデン政権は200兆円規模の経済対策を打ち出した。国際通貨基金(IMF)は6日、今年の世界の成長率予想を6%に引き上げたが、主な要因は米国だ。日銀では、好調な海外経済が日本の輸出企業の追い風になり、企業収益の回復を支えそうだとの声が出ている。

内需では設備投資が堅調に推移している。3月調査日銀短観では、全規模・全産業の21年度の設備投資計画が前年度比プラス0.5%となり、統計開始以来初めて年度初めでのプラスとなった。

半導体の世界的な供給不足やルネサスエレクトロニクスの工場火災が、自動車生産の下押しにつながっているが、日銀では半導体の供給が回復すれば、堅調な自動車需要を背景にばん回生産が見込まれるとの声が出ている。

日銀は、1―3月期のマイナス成長から4―6月期にはプラス成長に回復する確度が高まっていると判断すれば「基調としては持ち直している」としている景気の現状判断を引き上げることも検討する。

ただ、新型コロナウイルスの感染が再び急拡大する中、対面型サービス消費には下押し圧力が続くとみられる。感染症の状況や緊急事態宣言の再発令を巡る動向などを見極めて最終判断する。

今回の展望リポートでは、23年度の見通しが新たに加わる。ワクチン接種が順調に進めば、22年度には経済活動がコロナ前に戻る可能性が高い。日銀では、経済活動再開後にサービス消費が盛り上がることに期待感が出る一方で、ワクチンの効果、インバウンド需要の回復時期、個人消費の戻りなど不透明要因が多いとの声も根強い。

<物価、総裁任期には2%に届かず>

物価は、21年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)について現在の前年度比プラス0.5%から引き下げられる見通しだ。携帯料金値下げの影響を織り込むことが大きい。ただ、昨年秋からの原油価格の上昇が物価に波及することで、引き下げ幅は小幅にとどまる可能性がある。

景気回復に伴う需給ギャップのプラス転換で、日銀ではコアCPIの上昇率が23年度にかけて緩やかに拡大するとの見方が出ている。ただ、23年度はプラス1%程度とみられ、23年4月に黒田東彦総裁が任期満了となっても、物価の伸び率は目標である2%には届かない見通しだ。

(和田崇彦、木原麗花 取材協力:杉山健太郎 編集:石田仁志)

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