米上院外交委、中国対抗法案を可決 対中戦略の動き加速

[ワシントン 21日 ロイター] - 米上院外交委員会は21日、人権や経済競争において中国に圧力をかけることを目的とする法案「2021年の戦略的競争法」を賛成21、反対1で可決し、上院に送付した。米議会では超党派による中国への対抗を強める動きが加速している。

同法案では「インド太平洋地域における米国の政治的目的を達成するために必要な軍事的投資を優先する」必要性を強調。2022─26年度にインド太平洋地域への対外軍事融資として総額6億5500万ドル、インド太平洋の海上保安に関するプログラムなどに総額4億5000万ドルの拠出を求めた。台湾との関係強化も訴えている。

外交委は法案に複数の修正を加えた。その中には2022年の北京冬季五輪への米政府関係者の参加を禁止する内容も含まれている。政府系機関である米国際宗教自由委員会(USCIRF)も21日、中国が新疆ウイグル自治区でイスラム教少数民族ウイグル族を迫害しているとして、バイデン政権に対し、北京五輪に政府関係者を派遣しないよう求めた。

法案では、国家安全保障上のリスクについて金融取引を精査する対米外国投資委員会(CFIUS)の権限も拡大する。これについては、中国関連の補助金や契約の見直しをCFIUSに義務付ける条項を巡り、米大学から懸念の声が出ている。

また、これとは別に、上下両院の議員グループは米国の技術研究・開発を支援する超党派法案「エンドレス・フロンティア法案」を提出。技術研究に5年間で1000億ドル、国内の新たな技術拠点の設立に100億ドルを拠出することを求めた。

両法案とも民主・共和両党から強い支持を得ており、最終的には立法化される見込み。バイデン政権は法案の内容をおおむね支持している。

中国への強硬姿勢を強める動きは、大きく分断された米議会で数少ない超党派的の試みの1つとなっている。

外交委メンバーは、さらなる取り組みが必要と訴えている。

共和党のミット・ロムニー上院議員は「この法案が、世界の覇権を追求する中国の歩みを変えるとは、誰も思わないだろう。われわれにはまだ、やるべきことが多くある」と述べた。

*内容を追加しました。

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