NY市場サマリー(22日)米国株下落、ドル上昇 利回り低下

[22日 ロイター] -

<為替> ニューヨーク外為市場では、欧州中央銀行(ECB)がユーロ圏は現行の景気支援策が必要との見解を示す中、プラスの経済ニュースに反応し、ドルが主要通貨に対し上昇した。

午後に入り、複数の関係筋の話として、バイデン米大統領が所得が100万ドルを超える富裕層に対するキャピタルゲイン課税の税率を39.6%と、現行の2倍近くに引き上げることを提案すると伝わったことも、リスクオフのドル買いにつながった。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数は0.2%高の91.303。ユーロは0.2%安の1.201ドル。

ECBはこの日の定例理事会で、大規模な量的緩和の維持を決定すると同時に、政策金利も現行水準に据え置くことを決定。ラガルド総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的な縮小について「時期尚早」とし、議論していないと表明した。

アクション・エコノミクス(フロリダ州)のマネジング・ディレクター、ロナルド・シンプソン氏は「欧州の新型コロナウイルス感染状況が改善するまで、ユーロの上値は限定される」と指摘。バイデン大統領の税率引き上げ案については、実現に向けて進み、米株が売られる事態になれば、ドルの阻害要因になると述べた。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米金融・債券市場では、バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン課税引き上げを提案すると伝わったことで、利回りが低下した。ただ、法案化への道のりは長いとの見方から、10年債利回りはこのところのレンジ内にとどまっている。

複数の関係筋によると、バイデン大統領は所得が100万ドルを超える富裕層に対するキャピタルゲイン課税の税率を39.6%と、現行の2倍近くに引き上げ、所得税の限界税率をは37%から39.6%に引き上げることを提案する。

10年債利回りは1.587%を超える水準で推移していたが、税率引き上げ提案が伝わったことで、 1.5556%に低下。米株価も下落した。

ジャネイ・モンゴメリ・スコットのチーフ債券ストラテジスト、 ガイ・レバス氏は、国債の動きは株価に連動したものと指摘。バイデン氏の提案は今後多くのハードルに直面し、妥協を迫られる可能性もあるため、10年債利回りは先週からのレンジである1.528─1.633%の範囲内にとどまっていると述べた。

連邦準備理事会(FRB)が27─28日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)については、有意な政策変更はないとみられているが、市場はガイダンスに注目。FHNフィナンシャルの金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は、FRBのガイダンスが待たれる中、すべての年限ではなく、特定の年限の債券に取引が集まっているため、利回りの動きは今週に入ってから比較的小幅にとどまっているとの見方を示した。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は反落して取引を終えた。バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン課税引き上げを提案する見通しというニュースを受け、利益確定の売りが出たことが指摘された。来週発表されるハイテク大手の四半期決算も注目される。

関係筋によると、バイデン大統領は、所得が100万ドルを超える富裕層を対象にキャピタルゲイン税の税率を現行の2倍近い39.6%とし、所得税の限界税率を37%から39.6%に引き上げることを提案する見通しだ。育児や幼児教育分野などへの歳出を賄うためという。

市場では、増税案が可決されれば株価が大きく下落するという懸念の一方、「短期的な条件反射」(キングスビュー・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ポール・ノルテ氏)との声も聞かれた。

ダウ工業株30種とS&P総合500種は先週、最高値を更新したが、マイクロソフトやアルファベット、フェイスブックが来週の決算発表で示す業績見通しが待たれる中、市場は方向感を欠いている。

グレート・ヒル・キャピタルのトーマス・ヘイズ会長は、米国内の速やかな新型コロナウイルスワクチン接種で景気見通しが改善する一方、インドなどでの感染急拡大を巡る不安がくすぶっていると述べた。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場はドル高や米雇用の復調を背景に売られ、3日ぶりに反落した。

ドルが対ユーロで上昇し、ドル建て商品としての割高感から金は売りが優勢となった。米労働省が朝方発表した17日までの週の新規失業保険申請件数が、2週連続で改善し、新型コロナウイルス危機後の最低を更新したことも圧迫要因。金は前日に一時1798.40ドルと約2カ月ぶりの高値を付けており、利益確定の売りも出やすかった。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、世界3位の石油輸入国インドの需要減速懸念が重しとなったものの、リビアの減産を好感した買いに支えられ、小反発した。

インド政府によれば、22日午前8時までの24時間の新型コロナウイルス新規感染者は31万4800人超となった。1日当たりの新規感染者数として世界最多で、首都ニューデリーなど各地で新型コロナ感染拡大防止のためにとられた行動規制措置で経済活動が停滞すれば、エネルギー需要が減速するとの懸念が台頭。原油売りが先行した。一方、リビアが予算上の問題から生産を縮小していると伝わり、安値圏では買い戻しが活発化した。リビア国営石油会社(NOC)は22日、リビアの石油生産がここ数日間、日量約100万バレルに落ち込んでおり、今後一段と減少する可能性があると説明した。

*株式リポートの内容を更新しました

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 107.96/107.97

始値 108.02

高値 108.23

安値 107.95

ユーロ/ドル NY終値 1.2015/1.2017

始値 1.2050

高値 1.2069

安値 1.1994

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 92*14.50 2.2225%

前営業日終値 91*19.50 2.2630%

10年債(指標銘柄) 17時05分 96*07.00 1.5416%

前営業日終値 96*00.50 1.5640%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*25.25 0.7936%

前営業日終値 99*24.25 0.8000%

2年債(指標銘柄) 17時02分 99*30.38 0.1513%

前営業日終値 99*30.50 0.1490%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33815.90 -321.41 -0.94

前営業日終値 34137.31

ナスダック総合 13818.41 -131.81 -0.94

前営業日終値 13950.22

S&P総合500種 4134.98 -38.44 -0.92

前営業日終値 4173.42

COMEX金 6月限 1782.0 ‐11.1

前営業日終値 1793.1

COMEX銀 5月限 2618.0 ‐39.0

前営業日終値 2657.0

北海ブレント 6月限 65.40 +0.08

前営業日終値 65.32

米WTI先物 6月限 61.43 +0.08

前営業日終値 61.35

CRB商品指数 194.6802 +1.0196

前営業日終値 193.6606

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