NY市場サマリー(23日)米国株反発、ドル下落 利回り小動き

[23日 ロイター] - <為替> 米国債利回りの頭が重かったことで、ドルが主要通貨に対し下落した。市場では来週の連邦公開市場委員会(FOMC)が注目されている。

主要6通貨に対するドル指数は0.5%安の90.8080と、3月初旬以来の低水準を付けた。

ユーロは0.7%高の1.2098ドルと、週初からの高値を更新した。ユーロの上昇の半分以上は、経済ニュースが市場で消化された後の取引終盤でのもの。バノックバーン・グローバル・フォレックス(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「金曜日の終盤の取引でユーロが今週の高値を付けたことで、来週はユーロ相場が勢いづく可能性がある」と述べた。

IHSマークイットの4月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.7で市場予想に反して前月(53.2)から上昇した。

IHSマークイットの米国の4月の製造業PMI速報値は60.6と、統計を開始した2007年5月以来の高水準を付けた。

ドルは第1・四半期に3.6%上昇した後、4月に入ってから約2.6%下落。バノックバーンのチャンドラー氏は「極めて力強かった第1・四半期の巻き戻しがなお継続している」としている。

欧州中央銀行(ECB)は22日に開いた理事会で、大規模な量的緩和の維持を決定し、ラガルド総裁はパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の段階的な縮小について「時期尚早」との見解を示した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も27─28日のFOMC後の記者会見で同様の見解を示すと予想されている。

スコシアバンクのチーフ外為ストラテジスト、シャウン・オズボーン氏は「来週は経済指標の発表が相次ぐ中、FOMCが一つの目玉となる」と指摘。パウエル議長の発言で米国債利回りに下向き圧力がかかれば、ドル上昇が限定される。

暗号資産(仮想通貨)はバイデン米大統領のキャピタルゲイン増税計画が明らかになったことを受け急落していたが、その後、下げ幅を縮小。ビットコインは一時5%下落し、3月初旬以来初めて5万ドルを割り込んだが、その後は1.5%の安の5万0932ドル。イーサは約2%安。

<債券> 長期金利が1.5%台で小動き。前日伝わったバイデン大統領のキャピタルゲイン増税計画などを消化する動きとなった。

10年債利回りは1.1ベーシスポイント(bp)上昇し1.5666%。今月15日以降、1.528─1.646%のレンジ内で推移している。

経済指標では、4月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が60.6と過去最高を記録したほか、3月の新築住宅販売も前月比20.7%急増し14年半ぶりの高水準となった。

市場では、増税案を巡って「詳細待ちの状態だが、急激な動きは誰も望んでいない」(スターリング・キャピタル・マネジメント)という。

株式市場では前日大幅に値下がりしたダウ工業株30種が300ドル近く値上がりした。

来週27─28日には連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、大幅な政策変更はないと予想されている。入札関連では、総額1830億ドルの2年、5年、7年債入札が行われる。

2年債利回りは約1bp上昇し0.1575%。2年債と10年債の利回り格差は約2bp拡大し141bp。

<株式> 反発。好調な米指標を追い風に、S&P総合500種は終値で最高値に迫った。また、好決算への期待から、来週四半期決算を発表するハイテク大手の銘柄に買いが入った。

投資家の不安心理を表すボラティリティー・インデックス(VIX)は約10%低下し、投資家の不安が後退していることを示した。

インバーネス・カウンセルのチーフ投資ストラテジスト、ティム・グリスキー氏は「これまでに発表された企業決算はかなり高めの予想を上回っている。国債利回りは低下しており、ハイテク株にとってはプラス材料だ」と述べた。

来週はマイクロソフトやアルファベット、アップル、フェイスブックなどが決算を発表する。

IHSマークイットが23日に公表した4月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は60.6と、統計を開始した2007年5月以来の高水準を付けた。

3月の新築一戸建て住宅販売戸数(季節調整済み)は 年率換算で102万1000戸と前月比20.7%急増し、2006年8月以来の高水準となった。前年同月比では66.8%増。

ラザード・アセット・マネジメントの米株主任、ロン・テンプル氏は、過剰貯蓄やペントアップ需要、政府の刺激策などを追い風に、今年と来年の米経済成長率が6%を超え、過去50年で最も高い伸びを記録するとの見通しを示した。

S&Pの主要11セクターは軒並み上昇。情報技術と金融が上昇を主導した。

週足ではダウ工業株30種が約0.46%、ナスダック総合が0.25%、S&Pが0.13%それぞれ下落した。

23日発表された企業決算の一角は精彩を欠く内容となった。クレジットカード大手アメリカン・エキスプレス(アメックス)の第1・四半期決算は、新型コロナウイルス感染拡大抑制策の影響でカード保有者の旅行と娯楽関連の消費が約半減したことから減収となった。

アメックスは1.9%安で取引を終了。

複合企業のハネウェル・インターナショナルも2.1%安。四半期決算で主力の航空宇宙事業の売上高が予想を下回った。

ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3.62対1の比率で上回った。ナスダックでも2.82対1で値上がり銘柄数が多かった。

<金先物> 堅調な米経済指標を受けた米株価の上昇を眺めて売りが優勢となり、続落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比4.20ドル(0.24%)安の1オンス=1777.80ドル。

この日発表された4月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値と3月の新築一戸建て住宅販売件数は、ともに予想を上回る堅調な内容。これを好感して米株価が値上がりする中、安全資産としての金は売りに押された。米長期金利の指標となる10年物国債利回りが1.56%近辺と小幅ながら上昇したことも、金利を生まない金塊の下押し要因。金塊現物相場は午後1時32分現在、1オンス=1777.835ドル。

<米原油先物> 欧米の堅調な経済指標や対ユーロでのドル安などを受けて買われ、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.71ドル(1.16%)高の1バレル=62.14ドル。7月物は0.68ドル高の62.02ドル。

23日に発表された4月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値が63.3と、市場予想を上回った。前日の米新規失業保険申請件数やこの日発表された米新築住宅販売など、堅調な指標が相次ぐ中で、欧米の景気先行きに期待が広がった。また、外国為替市場では対ユーロでドルが下落。ドル建てで取引される原油などの商品の割安感につながり、原油の支援材料となった。

ただ、インドや日本を中心にアジア地域で新型コロナウイルスの新規感染者が拡大する中、行動規制措置に伴う経済活動の停滞に対する警戒感もくすぶり、相場の上値を抑えた。

ドル/円 NY終値 107.91/107.94

始値 107.85

高値 108.14

安値 107.49

ユーロ/ドル NY終値 1.2099/1.2101

始値 1.2055

高値 1.2099

安値 1.2047

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 92*06.00 2.2354%

前営業日終値 92*02.00 2.2410%

10年債(指標銘柄) 17時05分 96*02.00 1.5595%

前営業日終値 96*03.00 1.5560%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*21.75 0.8164%

前営業日終値 99*24.00 0.8020%

2年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.88 0.1595%

前営業日終値 99*30.38 0.1510%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 34043.49 +227.59 +0.67

前営業日終値 33815.90

ナスダック総合 14016.81 +198.40 +1.44

前営業日終値 13818.41

S&P総合500種 4180.17 +45.19 +1.09

前営業日終値 4134.98

COMEX金 6月限 1777.8 ‐4.2

前営業日終値 1782.0

COMEX銀 5月限 2607.5 ‐10.5

前営業日終値 2618.0

北海ブレント 6月限 66.11 +0.71

前営業日終値 65.40

米WTI先物 6月限 62.14 +0.71

前営業日終値 61.43

CRB商品指数 196.0583 +1.3781

前営業日終値 194.6802

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