テスラ、第1四半期収益は予想超え ビットコイン・排出枠売却で収入増

4月26日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラが発表した第1・四半期決算は、売上高と利益が予想を上回った。ニューヨークで撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)
4月26日、米電気自動車(EV)メーカーのテスラが発表した第1・四半期決算は、売上高と利益が予想を上回った。ニューヨークで撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)

[26日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカーのテスラが26日に発表した第1・四半期決算は、売上高と利益が予想をやや上回った。納車台数が過去最高になったことに加え、中国の堅調な需要と温暖化ガス排出枠の売却収入の増加で押し上げられた。

売上高は103億9000万ドルと、前年同期の59億9000万ドルから増加。リフィニティブがまとめたアナリスト予想の102億9000万ドルを上回った。

他の自動車メーカーへの温暖化ガス排出枠(クレジット)売却収入は46%増の5億1800万ドルとなり、最終利益を上回った。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)への2億9900万ドルの報酬が最終利益を圧迫した。マスク氏はまた、業績目標の達成に伴い、ストックオプションから計110億ドルの報酬を受け取る資格を得た。

調整後の1株利益は0.93ドルと、市場予想の0.79ドルを上回った。

テスラの黒字は7四半期連続。大部分の四半期はクレジット売却収入によって押し上げられている。

納車台数は過去最高の18万4800台を記録。「モデルY」を現地生産している中国の堅調な需要を背景に市場予想を上回った。世界的な半導体不足の中でも、新型のマイクロコントローラに極めて迅速に切り替え、うまく対応できたとした。ただ、高価格帯の「モデルS」や「モデルX」が大幅モデルチェンジを前に生産が中断されたことで、平均販売価格は13%低下した。

第1・四半期における1台当たり平均コストは3万8000ドル弱と、2017年の8万4000ドルから低下した。

新しいモデルSの納車は来月開始し、第3・四半期に大量生産に入る。モデルYの上海での生産率は引き続き改善した。

マスク氏は第1・四半期に同社は半導体不足により「これまで経験した中で最も困難」なサプライチェーン(供給網)の問題に直面したと説明。「この問題からはおおむね抜け出した」とした。同氏はまた、路上で運転されているテスラ車を現在の100万台強から来年は200万台に増やすと述べた。

テスラは今年の販売台数の伸びが50%を超えると見込む。米テキサス州とドイツのベルリンの工場では年内に生産・納車を開始する予定。

<ビットコインが寄与>

株価は引け後の時間外取引で約2%下落した。

ロス・キャピタル・パートナーズのアナリスト、クレイグ・アーウィン氏は「クレジットの収入増と税支払額の減少、ビットコインの売却額が業績を押し上げた。これらを除外すれば予想を大幅に下回った」と指摘した。

インベスティング・ドット・コムのシニアアナリスト、ジェシー・コーエン氏は「もっと大幅な増収を期待していたが、予想通りだった」と述べた。

テスラは同期にビットコイン保有を10%縮小した。この収入が業績に寄与した。

ザッカリー・カークホーン最高財務責任者(CFO)は「われわれはビットコインの長期的価値を認めている」と強調。「現在保有するビットコインを長期間維持し、当社の車を購入する顧客との取引でビットコインを今後も積み増す考えだ」とした。

マスク氏は個人のビットコインは売却していないとツイートした。

<衝突事故>

テスラは米国で、テキサス州で2人が死亡した最近の1件を含む28件の衝突事故を受け、完全自動運転ソフトウエアを巡り連邦当局の新たな調査を受けている。

テスラは投資家向け電話会見で、調査官とともに事故車を調査し、ハンドルが変形していたことを確認したと説明。衝突事故時に誰かが運転席に座っていた可能性が高まったとした。

テスラの担当者は「シートベルトは外れた状態で見つかった。衝突時のSDカードデータはわれわれには回収できないが、地元当局がそれに取り組んでおり、われわれは報告を待っている」と語った。

連邦調査官と警察当局にテスラの説明について確認を求めているが、今のところ回答を得られていない。

*内容を追加しました。

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