UBS、第1四半期14%増益 アルケゴス関連で7.7億ドル費用計上

4月27日、UBSが発表した第1・四半期決算は純利益が前年同期比14%増の18億2400万ドルと予想を上回った。チューリヒで2月撮影(2021年 ロイター/Arnd Wiegmann)
4月27日、UBSが発表した第1・四半期決算は純利益が前年同期比14%増の18億2400万ドルと予想を上回った。チューリヒで2月撮影(2021年 ロイター/Arnd Wiegmann)

[チューリヒ 27日 ロイター] - スイスの金融大手UBSが27日発表した第1・四半期決算は純利益が前年同期比14%増の18億2400万ドルと予想を上回った。顧客の活動が記録的高水準だったことが好業績につながった。

米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントのデフォルトに関連した費用が7億7400万ドルだったと明らかにした。

同行がまとめたアナリスト20人による純利益予想の中央値は15億9100万ドルだった。

ラルフ・ハマーズ最高経営責任者(CEO)はアルケゴス関連でのプライムブローカレッジ部門の損失について「われわれの誰もが明らかに失望しており、この問題を深刻に受け止めている」と語った。

「リスク管理プロセスの詳細な見直しを行っているところで、今後このような事態を起こさないために適切な措置を講じている」と説明した。

ムーディーズのアナリスト、マイケル・ロール氏は、アルケゴス関連の損失について「資本市場でのUBSの行動を巡り脈々と続くリスクを浮き彫りにし、(UBSの)リスク回避の企業文化の後退を示している」と指摘した上で「UBSの財務内容と格付けを維持する上で、強固な資本と流動性が依然重要な強みだ」と述べた。

UBSはアルケゴスの問題によりプライムブローカレッジ部門の収入が減少したことで第1・四半期の純利益が4億3400万ドル押し下げられたと明らかにした。

アルケゴス関連の持ち高は4月中に解消したとし、関連損失を第2・四半期に計上するが「グループにとって重要ではない」規模になるとの見方を示した。

第2・四半期については慎重な見方を示し、第1・四半期に比べると顧客はそれほど活発に取引しないとみている。ただ資産価格上昇による運用手数料によって一部相殺されるとしている。

第1・四半期はウェルスマネジメント部門が16%の増益となった。融資の増加と活発な取引により低金利による影響が緩和された。

富裕層の顧客から362億ドルの新規資金が流入し、預かり資産は3兆1080億ドルとなった。

資産運用部門は好調な投資環境を背景に45%の増益となり、全部門の中で最大の伸びを記録した。

一方、投資銀行部門は税引き前利益が42%減少した。アルケゴス関連の費用が圧迫したほか、その他のトレーディング事業の収入も伸び悩んだ。

ハマーズCEOは27日のアナリスト向け会議で、持続可能な投資に注力し、より機敏で顧客本位の「デジタルネーティブ」な企業になることを柱としたいくつかの戦略指針を発表した。

UBSは、組織の簡素化やデジタル化の新たな取り組みにより2023年までに年約10億ドルの節減につながるとの見込みを示した。

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