NY市場サマリー(30日)ドル高・株安、利回り低下

[30日 ロイター] - <為替> ドルが上昇。好調な米経済指標が追い風になったほか、ドルショートポジションに対する利益確定の動きが出た。一方、ドルは月間で2.1%下落し、昨年12月以来の大幅な下げを記録した。

米商務省が30日に発表した3月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比4.2%増加し、寒波の影響で1%落ち込んだ前月から持ち直した。政府の大規模な財政出動を背景に、個人所得は21.1%増加。個人消費支出(PCE)価格指数も、食品・エネルギーを除くコアベースの伸びが前月比0.4%となった。

4月のシカゴ地区購買部協会景気指数は72.1と、約40年ぶりの水準に上昇した。

終盤の取引で、ドル指数は0.7%高の91.263。2月終盤以来の大幅な伸びを記録した。

カナダドルは一時、対米ドルで約3年ぶり高値となる1.2266カナダドルを付けた。カナダドルは週間で1.6%上昇と、昨年11月初旬以来の大幅な伸びを記録する見通し。

ユーロ/ドルは0.8%安の1.2025ドルと、2月終盤以来の大幅な下落率となった。しかし月間では、ユーロは2.5%上昇と、昨年7月以来の好成績となった。

ドル/円は0.3%高の109.29円。週間では1%上昇したものの、月間では1.3%安と、昨年7月以来の大幅な下げとなった。

来週発表される4月の米雇用統計や製造業関連指標が注目されている。INGはリサーチノートで、一連の指標が底堅い内容となれば「テーパリング(量的緩和縮小)を巡る討議開始への圧力が高まる可能性がある」と指摘し、米債価格が再び下押しされれば、ドル売りは一服する可能性があるとの見通しを示した。

暗号資産(仮想通貨)のビットコインは6.54%高の5万7098.08ドル。

イーサは1.06%高の2787.35ドル。

<債券> 月末特有の調整で国債に買いが入り、利回りが低下した。

BMOキャピタルマーケッツ(ニューヨーク)のイアン・リンゲン氏は「現時点では月末の調整が入っている」とし、来週発表される4月の雇用統計が次の市場の動意になると述べた。

前日発表の第1・四半期の米実質国内総生産(GDP)速報値は、年率換算で前期比6.4%増加し、2003年第3・四半期以降で2番目の高成長。これを受け前日は国債利回りが2週間ぶりの水準に上昇した。

この日は午後に入ってから利回りが低下し、このところのレンジの中間近辺で推移。終盤の取引で10年債利回りは1ベーシスポイント(bp)低下の1.629%。

商務省が発表した3月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比4.2%増加し、寒波の影響で1%落ち込んだ前月から持ち直した。

ただインフレ見通しは低下。10年物の物価連動国債(TIPS)と通常国債の利回り差で市場の期待インフレ率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は2.41%と、前日に付けた8年ぶりの高水準の2.46%から低下した。

市場は5月7日に労働省が発表する4月の雇用統計に注目。財務省が来週発表する向こう2四半期の資金調達計画も注目されている。

<株式> アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、グーグルの持ち株会社アルファベットなどに売りが出て、下落して終了した。

前日は堅調な決算を発表したハイテク株に買いが入り、S&P総合500種が終値ベースの過去最高値を更新。この日はアマゾンが0.1%安、アップルが1.5%安で取引を終えたほか、ツイッターが15%下落して終了した。

ツイッターが前日発表した第1・四半期決算は売上高や利用者数が市場予想並みとなったほか、第2・四半期の売上高見通しが精彩を欠いた。

クレセット・ウエルス・アドバイザーズ(フロリダ州)の最高投資責任者(CIO)、ジャック・アブリン氏は「パンデミック(世界的大流行)の恩恵を受けたハイテク企業を中心に来四半期はこれ以上に良くならないとの見方が出ている」と述べた。

S&P500の主要11セクターのうち7セクターが下落した。

月間ではナスダック総合が5.4%、ダウ工業株30種が2.7%、S&P総合500種が5.2%、それぞれ上昇。ナスダックは6カ月連続、ダウとS&Pは3カ月連続での上昇となった。

個別銘柄では、石油大手シェブロンが3.6%安。第1・四半期決算は、原油高の恩恵が精製マージンの低下などで相殺され、29%の減益となった。

一方、製薬大手アッヴィは好決算を反映し0.5%高。

ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を2.13対1の比率で上回った。ナスダックでも2.13対1で値下がり銘柄数が多かった。

米取引所の合算出来高は103億株。直近20営業日の平均は98億株。

<金先物> 新規材料難の中、対ユーロでのドル高を背景に売られ、小幅ながら4営業日続落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.60ドル(0.03%)安の1オンス=1767.70ドル。金相場は月間で3.0%上昇した。

対ユーロでのドル上昇がドル建てで取引される金塊などの商品の割高感につながり、金相場は圧迫された。ただ、週末を前に売り買いのきっかけとなる材料に欠け、金相場は動意薄の展開。朝方に発表された3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.3%上昇と、2年7カ月ぶりの大幅な伸びとなったが、相場の反応は限定的だった。

<米原油先物> 利益確定の売りや新型コロナウイルス感染が再拡大するアジア地域での需要懸念などに押され、4日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比1.43ドル(2.20%)安の1バレル=63.58ドル。週間では1.44ドル(2.32%)上昇。7月物は1.40ドル安の63.48ドルだった。

未明から朝方に利益確定の売りやポジション調整の売りが活発化。相場は一時63ドル割れ目前に迫った。アジア地域でコロナ感染が再拡大する中、経済活動の停滞によりエネルギー需要減退を招くとの懸念が根強く、相場の重しとなっている。米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、石油輸入世界3位のインドの新型コロナ感染者が累計1800万人を突破し、最多の米国(3200万人超)に続いた。資源エネルギー庁が30日発表した石油統計速報によると、3月の日本の原油輸入量は前年同月比25%減少した。

ドル/円 NY終値 109.27/109.30

始値 108.87

高値 109.36

安値 108.77

ユーロ/ドル NY終値 1.2018/1.2022

始値 1.2079

高値 1.2091

安値 1.2017

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 90*29.00 2.2982%

前営業日終値 90*21.50 2.3100%

10年債(指標銘柄) 17時05分 95*15.50 1.6259%

前営業日終値 95*11.50 1.6400%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*16.50 0.8493%

前営業日終値 99*13.75 0.8670%

2年債(指標銘柄) 12時26分 99*29.63 0.1623%

前営業日終値 99*29.38 0.1660%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 33874.85 -185.51 -0.54

前営業日終値 34060.36

ナスダック総合 13962.68 -119.87 -0.85

前営業日終値 14082.55

S&P総合500種 4181.17 -30.30 -0.72

前営業日終値 4211.47

COMEX金 6月限 1767.7 ‐0.6

前営業日終値 1768.3

COMEX銀 7月限 2587.3 ‐21.2

前営業日終値 2608.5

北海ブレント 6月限 67.25 ‐1.31

前営業日終値 68.56

米WTI先物 6月限 63.58 ‐1.43

前営業日終値 65.01

CRB商品指数 199.7578 ‐0.9124

前営業日終値 200.6702

(c) Copyright Thomson Reuters 2021. Click For Restrictions -
https://agency.reuters.com/en/copyright.html

ロイター通信ニュース