日銀の「グリーン」対応、政府戦略なしでは推進できず=元日銀審議委員

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[ムンバイ 30日 ロイター] - 元日銀政策委員会審議委員で慶應義塾大学総合政策学部教授の白井さゆり氏は、温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「ネットゼロ」目標の達成に向け、日本政府が信頼できる戦略を打ち出さない限り、日銀は気候変動に配慮した「グリーン」対応を大々的に推進することはできないという考えを示した。

ロイター・グローバル・マーケッツ・フォーラムで、銀行への融資だけでは、たとえ融資の満期が無制限に更新できるとしても、グリーン対応を促進するには十分でないと指摘。「銀行はグリーンではなく、時間がかかるだろう」と語った。

また、日本の社債市場は全体的に小さく、「政府がグリーン対応の定義を明確にし、情報開示を強化する」まで、グリーン債市場の重要性は取るに足らないままだと述べた。

元インド中銀総裁のラグラム・ラジャン氏は先週、サステナブル(グリーン)投資を推進する責任は中銀ではなく政府にあるべきとの考えを示したが、白井氏はラジャンの意見に賛同し、「政府が第一であって、中銀はサポート役だ」とした。

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