日産、電動車用モーターからのレアアース回収コスト半減 早大と開発

9月3日、日産自動車は電気自動車(EV)などで使われたモーター磁石からレアアース(希土類)を高い純度で効率良く回収し再利用する技術を早稲田大学と共同で開発したと発表した。写真は日産のロゴ。英サンダーランドで7月撮影(2021年 ロイター/Phil Noble)
9月3日、日産自動車は電気自動車(EV)などで使われたモーター磁石からレアアース(希土類)を高い純度で効率良く回収し再利用する技術を早稲田大学と共同で開発したと発表した。写真は日産のロゴ。英サンダーランドで7月撮影(2021年 ロイター/Phil Noble)

[東京 3日 ロイター] - 日産自動車は3日、電気自動車(EV)などで使われたモーター磁石からレアアース(希土類)を高い純度で効率良く回収し再利用する技術を早稲田大学と共同で開発したと発表した。レアアース回収の時間とコストを現状から半減できる新たなリサイクル手法で、2020年代半ばの実用化をめざす。

脱炭素化に向け電動車の普及が加速する中、電動車に欠かせないレアアースは安定的な確保が必要。ただ、中国など特定地域に偏在しており、地政学リスクがあるほか、需給ひっ迫による価格変動などもあり、自動車メーカーにとって使用量の削減が課題になっている。リサイクルが進んで購入量を抑えられれば、車両価格にも反映できる。

現状は、手作業でモーター部品を解体して磁石を分解するなどしてレアアースを回収しているが、新技術ではモーターをそのまま、銑鉄などと混ぜて1400度以上に加熱した炉に入れて溶かす。炉内の溶融液に安価で入手しやすいホウ酸塩系の物質などを加え、レアアースを含んだ層と含まない層に分離し、98%という高い回収率でレアアースを取り出すことができる。日産と早大によると、こうした手法でレアアースを回収するのは世界初という。

例えば、モーター部品50個からレアアースを取り出す場合、現状では8時間かかるが、新技術では4時間で済む。現在は加熱する炉が小さいために一度に融解できるモーター部品の個数が少ないが、今後は大型の炉を持つ他社との協業なども進めて、1度に融解できる個数を増やすなどの実験を重ねる。

日産はレアアースの使用量を抑える取り組みを強化している。多くの電動車が使用しているレアアースの必要な永久磁石そのものを使わないモーターを、今冬発売予定のEV戦略車「アリア」で採用している。

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