自動車産業と国内エネルギー問題の課題、10月に公表=自工会会長

9月9日、日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長は、日本政府の2030年のエネルギー政策目標などは現状に見合っていないという認識を示した上で、日本のエネルギーと自動車産業を軸にした課題についてまとめた報告を来月公表すると明らかにした。米ラスベガスで昨年1月撮影(2021年 ロイター/Steve Marcus)
9月9日、日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長は、日本政府の2030年のエネルギー政策目標などは現状に見合っていないという認識を示した上で、日本のエネルギーと自動車産業を軸にした課題についてまとめた報告を来月公表すると明らかにした。米ラスベガスで昨年1月撮影(2021年 ロイター/Steve Marcus)

[東京 9日 ロイター] - 日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は9日の会見で、日本政府の2030年のエネルギー政策目標などは現状に見合っていないという認識を示した上で、日本のエネルギーと自動車産業を軸にした課題について「プラクティカル(現実的)、かつ、サステナブル(持続可能)な観点で」まとめた報告を来月公表する方針を明らかにした。

世界的に脱炭素化が進む中、日本のエネルギーは二酸化炭素(CO2)排出量の多い火力発電への依存度が高いなどの課題がある。カーボンニュートラルを実現するためには、生産や物流などのプロセスも含むライフサイクル全体でのCO2削減が必要となる。

しかし、現状の電源構成では国内生産の約半分を占める500万台の自動車輸出は「ほとんどできなくなる」と豊田会長は強調し、「輸出で成り立っている日本にとって、カーボンニュートラルは雇用問題だ」と指摘。日本政府の30年のエネルギー政策目標は「日本の実情を踏まえたものではなく、欧州の流れに沿ったものではないか」と疑問を呈し、再生可能エネルギー比率の目標にも「コストの議論が入っていない」と批判した。

10月に公表する報告では「国内生産1000万台を維持し、雇用を守りながら日本の発展に貢献し続けるため、まず自動車産業として必要なエネルギー、CO2排出量を整理し、いつ何がどれだけ必要かという原単位を明確にしていきたい」と述べた。

その上で「どれだけ投資や研究開発が必要でコストはどうなのか。自動車生産の競争力は維持できるのか。国内での事業性が成り立たない場合、国から何か支援策を期待できるのか。その財源はどうするのか。このような課題を提示し、議論のきっかけをつくっていきたい」と語った。

一方、会長の任期を2024年5月まで延長すると一部メディアで報じられたことについては「決まっていない」と否定した。

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