国内企業物価8月は前年比+5.5%、商品上昇の価格転嫁続く

[東京 13日 ロイター] - 日銀が13日に発表した8月の企業物価指数(CGPI)速報によると、国内企業物価指数(2015年=100.0)は前年比プラス5.5%だった。上昇率は前月から小幅に縮小したものの、国際商品市況の上昇を価格転嫁する動きが続き、引き続き高水準となっている。前月比は横ばいだった。

前年比上昇は6カ月連続。石油・石炭製品が前年比31.5%、非鉄金属が同28.0%それぞれ上昇し押し上げに寄与した。化学製品、鉄鋼、木材・木製品なども上昇した。

744品目中、前年比で上昇したのは404品目、下落したのは240品目。上昇が下落を164品目上回った。

7月も前年比プラス5.6%と、2008年9月以来の高い伸びだった。ワクチン接種の進展などで世界経済の回復が続く中、国内企業物価に上昇圧力がかかりやすい状況が続いている。一方、新型コロナウイルスの感染再拡大で国際商品市況の一部には一服感や価格下落の動きもみられるという。担当者は「先行きの不透明感は増している」と述べた。

同時に発表された輸入物価指数は、円ベースで前年比プラス29.2%と、1981年1月以降で過去最高の伸び。6カ月連続のプラスだった。

<前月比は横ばい>

前月比は押し上げと押し下げが交錯し、横ばいとなった。押し上げ方向に最も寄与したのは木材・木製品と鉄鋼。住宅建築用木製組み立て材料や集成材は輸入材を原料にしているものもの多く、既往の商品市況の上昇がタイムラグを伴う形で国内価格に波及している。鉄鋼もこれまでの原材料高を価格転嫁する動きが続いた。金属製品、プラスチック製品、飲食料品なども押し上げ方向に寄与した。

一方、石油・石炭製品は7月中旬から8月にかけたドバイ市況の下落を受けて値下がり。鶏卵は鳥インフルエンザによる供給制約が解消に向かったこと、牛肉は感染症拡大で外食需要が低下したことなどを背景にそれぞれ値下がりした。

(杉山健太郎 編集:内田慎一、田中志保)

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