経済社会活動の段階的引き上げが回復のカギ=21年度経済白書

西村康稔経済財政担当相は9月24日の閣議に経済財政白書を提出した。写真は日銀で2016年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)
西村康稔経済財政担当相は9月24日の閣議に経済財政白書を提出した。写真は日銀で2016年9月撮影(2020年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 24日 ロイター] - 西村康稔経済財政担当相は24日の閣議に経済財政白書を提出した。日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大により、内需と所得・雇用の循環が抑制されていると指摘。今後は、ワクチン接種の進展や医療提供体制の拡充のもと、「経済社会活動を段階的に引き上げていくことが、回復のカギだ」とした。

21年度の「年次経済財政報告」、いわゆる経済白書によると、日本は危機対応のステージから次のステージに進む中、強さと柔軟性を兼ね備えた「レジリエントな経済社会」を構築することが重要だと指摘した。

その上で、経済の対応力と成長力の強化に向けた3つの課題への取り組みが重要だと説明。まず「感染対策と日常生活の回復の両立」を挙げ、ワクチン接種証明を活用し経済活動を再開している欧米主要国を例に示し、日本も経済を回す段階に向けて「合理的かつ実効性のある枠組みを早急に構築する必要がある」とした。

また、東南アジアでの感染拡大を原因とした部品の供給不足で、日系自動車各社が大幅な減産を強いられていることに言及。「サプライチェーンの強靭化」の課題が改めて明らかになり、経済安全保障の観点からも早急な取り組みが求められるとした。

企業や雇用面では、「事業の再構築と人材の円滑な移動に向けた取り組みの強化」を指摘。企業が事業の再構築に取り組むための環境整備や、IT分野などの成長産業への労働移動を促すリカレント教育の充実・強化を訴えた。

また、デジタル化の加速やそれを担うソフトウエア業界での開発インセンティブ強化、情報通信分野の人材不足の解消への取り組みも明記した。発電コスト抑制とエネルギー効率改善に向けたイノベーションに取り組むことでカーボンニュートラルと経済成長を同時に実現することが求められているとした。

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