NY外為市場=ドル1年ぶり高値、米金融政策正常化への期待で

ニューヨーク外為市場でドルが急伸。主要通貨に対し1年ぶり高値を付けた。2月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)
ニューヨーク外為市場でドルが急伸。主要通貨に対し1年ぶり高値を付けた。2月撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic)

[ニューヨーク 29日 ロイター] - ニューヨーク外為市場でドルが急伸。米連邦準備理事会(FRB)が11月にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始し、来年終盤に利上げに踏み出すという期待が高まる中、主要通貨に対し1年ぶり高値を付けた。

ソシエテ・ジェネラルのマクロストラテジスト、キット・ジャンクス氏は、FRBが金融政策の正常化開始に向けた合図を送っているとし、「米国がユーロ圏や日本を尻目にゼロ金利を脱却すれば、世界の余剰貯蓄はドルに流れ、ドルは来年、他の通貨をアウトパフォームするだろう。そうした動きが予想より早まる可能性もある」と述べた。

終盤の取引で、主要6指数に対するドル指数は4営業日続伸し、0.7%高の94.404。一時、昨年9月終盤以来の高値となる94.435を付けた。

ウェルズ・ファーゴのマクロストラテジスト、エリック・ネルソン氏はドル指数がさらに2─3%上昇する余地があるとの見方を示した。

米議会では連邦政府債務上限引き上げを巡り与野党の攻防が続いているものの、ドルは反応薄だった。米上院共和党は28日、債務上限を22年末まで適用停止とする法案の採決を再び阻止。会計年度末が30日に迫り、政府の資金繰りが10月18日前後に限界に達するとみられる中、政府機関閉鎖やデフォルト(債務不履行)の回避に向けて残された時間は限られている。

上院民主党トップのシューマー院内総務は、12月初めまでの政府機関の資金を手当する超党派決議案の採決を29日もしくは30日に実施する可能性があると述べた。

ユーロは節目となる1.16ドルの水準を下抜け、0.8%安の1.1592ドル。

ドルは対円で0.4%高の111.99円。一時、昨年2月以来の高値となる112.04円を付ける場面もあった。

自民党の総裁選で岸田文雄前政調会長が勝利し、第100代首相に選出される見通しとなったものの、円の反応は限られた。

ドルはスイスフランに対しても約5カ月ぶり高値となる0.9355フランを付けた。その後は0.7%高の0.9351フランで推移した。

米英欧の中央銀行トップが29日開催された欧州中央銀行(ECB)の金融シンポジウム「ECBフォーラム」で示した発言も注目された。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長、ラガルドECB総裁、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁は、世界の経済成長の妨げとなっている供給の制約が一段と悪化し、現在の物価上昇が一過性である公算が大きいものの、インフレが長期間高止まりする恐れがあるという認識を示した。

ドル/円 NY終値 111.96/111.97

始値 111.33

高値 112.04

安値 111.34

ユーロ/ドル NY終値 1.1595/1.1599

始値 1.1659

高値 1.1659

安値 1.1590

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