失業率8月は2.8%で横ばい、コロナ影響残る 有効求人倍率は低下

10月1日、総務省が発表した8月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月(2.8%)から横ばいだった。東京都で8月19日撮影(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)
10月1日、総務省が発表した8月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月(2.8%)から横ばいだった。東京都で8月19日撮影(2021年 ロイター/Athit Perawongmetha)

[東京 1日 ロイター] - 総務省が1日発表した8月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月(2.8%)から横ばいだった。新型コロナウイルス感染症対策で緊急事態宣言の対象地域が拡大されたが、雇用調整助成金や労働市場からの退出などで失業率は同水準にとどまったとみられる。厚生労働省が発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は1.14倍で、前月から低下した。

<失業率、コロナの影響が依然顕著>

完全失業率は、ロイターの事前予測調査で2.9%が予想されていた。

総務省の担当者は「新型コロナウイルス感染症の影響は引き続き大きく表れているので、今後も十分に注視が必要」との見通しを示した。

就業者数(季節調整値)は6676万人と前月に比べ32万人減った。一方、完全失業者数(同)は191万人と前月から1万人増加した。内訳では「自発的な離職(自己都合)」は4万人の増加、「非自発的な離職」は5万人減少した。

原数値では、就業者数は前年同月比17万人増の6693万人と、5カ月連続の増加となったが、コロナ前の2019年同月と比較すると58万人減少している。

SMBC日興証券のシニアエコノミスト宮前耕也氏は「雇用調整助成金の影響や、労働市場からいったん退出する動きなどで失業率が抑えられた」と分析。「緊急事態宣言が解除された10月以降は雇用者数は増加し、失業率は2%台後半で安定推移していくだろう」とみている。

<有効求人倍率は低下、求人数を求職者がしのぐ>

8月の有効求人倍率は、前月から0.01ポイント低下した。1倍は超えているものの、コロナの流行前が1.5─1.6倍台で推移していたことを踏まえると戻りは鈍い。

ロイターの調査でも1.14倍と予想されていた。

厚生労働者の担当者によると、緊急事態宣言などが発令されてた地域では飲食業などの求人数は抑制されていたが、全国的にみると求人数は増加した一方、求職者の伸びの方が大きかったため、有効求人倍率が低下した。

有効求人倍率は仕事を探している求職者1人当たり、企業から何件の求人があるかを示す。求人、求職はともに3カ月間有効で、今回は6、7、8月の動きが反映されたものとなる。

    有効求人(季節調整値)は前月に比べて1.2%増。リモートワークの広がりなどで住宅需要が高まっている建設業や、5G関連、ゲーム機向けの電子機器類を手掛ける製造業などが求人の増加に寄与した。

一方、有効求職者数(同)は2.2%増。コロナワクチンの接種を終えた高齢者などで求職活動を再開する動きが出たのではないかとみられている。

(金子かおり 杉山健太郎 編集:田中志保)

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