再送-ANA、環境燃料促進へ企業とコスト負担 出遅れる脱炭素を加速

ANAホールディングス傘下の全日本空輸は14日、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する持続可能な航空燃料(SAF)の利用促進への取り組みを、物流・貨物事業などの参加企業と共同で始めたと発表した。写真は羽田空港で昨年10月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)
ANAホールディングス傘下の全日本空輸は14日、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する持続可能な航空燃料(SAF)の利用促進への取り組みを、物流・貨物事業などの参加企業と共同で始めたと発表した。写真は羽田空港で昨年10月撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

(1段落目の助詞を修正しました。)

[東京 14日 ロイター] - ANAホールディングス傘下の全日本空輸は14日、二酸化炭素(CO2)排出量を削減する持続可能な航空燃料(SAF)の利用促進への取り組みを、物流・貨物事業などの参加企業と共同で始めたと発表した。航空機はCO2排出量が多く「飛び恥」とも呼ばれるが、航空以外の産業も巻き込み、SAFの普及を狙う。参加企業にコストの分担を求め、燃料調達のコスト低減も図る。

参加企業は航空貨物輸送時にSAFを使うと、SAFのコストを分担する代わりに第三者機関が認証した証書を受け取り、輸送時にCO2を削減したことを取引先や投資家に情報開示できる。ANAは今後、多くの企業に協力を呼びかけ、12月からは出張時にSAFを使う航空機の利用を促すことを目指している。

企業の環境対応は機関投資家の投資条件の項目の一つになることもあり、情報開示が不十分だと投資資金を呼び込めなくなる可能性もある。環境対応を取引上の要求事項とする企業もある。

SAFはごみや植物などを原料とする環境に優しい燃料で、ライフサイクルでのCO2排出量は従来のジェット燃料に比べ約80%削減できるが、コストは従来燃料の約5倍以上ともされる。

全日空の平子裕志社長は会見で、日本では航空輸送での脱炭素への取り組みが欧米に比べ「大きく立ち遅れている」と指摘。SAFのコストは高く、各社業績への圧迫要因にもなりかねないため、今回の取り組みで「企業とウィンウィン関係を作り、SAFの安定調達や価格低減につなげたい」と述べた。

日本通運、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスの3社がまず参画し、SAFによる貨物便を9月下旬に運航。来年4月の東証の市場区分再編で最上位となるプライム市場の上場企業には、気候変動関連の情報開示が求められる見込みだが、ANAはこの市場の上場企業を中心に参画を呼び掛ける方針だ。

現在、世界のSAF生産量は需要の1%未満にすぎず、航空輸送を利用する企業間で争奪戦となっている。ANAは現在はフィンランドのネステ社からSAFを調達するが、今後はSAFを国産化したい考え。

海外では独ルフトハンザ航空などがすでにSAFによる定期便を運航している。4月には武田薬品工業など11社が米ユナイテッド航空とSAFへの投資拡大で連携。武田はデルタ航空とも出張時のSAF利用で提携した。

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