ANA、今期は1000億円の最終赤字に 旅客需要の回復遅れ

経済・ビジネス

10月29日、ANAホールディングスは、2022年3月期の連結最終損益が1000億円の赤字になる見通しと発表した。羽田空港で2020年10月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
10月29日、ANAホールディングスは、2022年3月期の連結最終損益が1000億円の赤字になる見通しと発表した。羽田空港で2020年10月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 29日 ロイター] - ANAホールディングスは29日、2022年3月期の連結最終損益が1000億円の赤字になる見通しと発表した。従来は35億円の最終黒字を見込んでいたが、一転して赤字となる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で旅客需要の低迷が続き、回復が想定より遅れるため。採用抑制などによる人員削減計画も合わせて公表した。

今期最終損益のアナリスト7人による事前の市場予想(IBESのコンセンサス予想)は1051億円の赤字で、修正後の会社予想はほぼ同水準となる。

片野坂真哉社長は決算会見で、新型コロナワクチン接種の広がりなどで旅客需要は回復に向かうとみていたが、業績下方修正の理由について「想定との乖離があった」と指摘。好調な国際貨物の計画以上の増収やコスト削減による増益効果はあったものの、上期に失われた期待収入が大きく、「カバーしきれないと判断した」と述べた。

国内線を中心に旅客需要の回復を見込んでいたが、4─9月期のほとんどが緊急事態宣言の期間中となり、移動制限で旅客需要の回復が遅れた。ただ、足元の国内線旅客需要は増加基調に転じてきている。当初は7─9月期に想定していた四半期ベースでの営業黒字転換は22年1─3月期での実現を目指す。

前期の4046億円の赤字に続き、今期も2年連続の最終赤字となる見通しだが、片野坂社長は「手元資金は十分確保しており、直ちに資本増強の必要はない」と話した。自己資本比率は9月末時点で26.0%。劣後ローンで資本とみなされる部分も加味すると39%になり、「財務面は健全」との認識を示した。

今期の売上高は前期比45.5%増の1兆0600億円、営業損益は1250億円の赤字(前期は4647億円の赤字)をそれぞれ見込む。売上高は従来予想から3200億円引き下げ、営業損益は280億円の黒字予想から大幅赤字に転落する見通し。

今期のANAブランドの旅客需要の前提については、期初時点で国内線が年度平均でコロナ前水準の80%、国際線が30%を見込んでいたが、国内線45%、国際線10%に引き下げた。

同社はグループ全体で22年度末に約5000人減らす計画も明らかにした。希望退職は募らず、新卒の採用抑制や自然減などで実現させる。25年度末には、ANAブランドの従業員数を20年度末比で約9000人減となる約2万9000人にする目標も示した。採用抑制や自然減のほか、好調な貨物事業への配置転換などでも対応する。

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