日本製鉄の事業利益8000億円へ 今期2度目の上方修正 鋼材価格改善

経済・ビジネス

11月2日、日本製鉄は2022年3月期(国際会計基準)の連結純利益予想を3700億円から5200億円(前期は324億円の赤字)に上方修正した。写真は2019年3月撮影(2021年 ロイター/Yuka Obayashi)
11月2日、日本製鉄は2022年3月期(国際会計基準)の連結純利益予想を3700億円から5200億円(前期は324億円の赤字)に上方修正した。写真は2019年3月撮影(2021年 ロイター/Yuka Obayashi)

[東京 2日 ロイター] - 日本製鉄は2日、本業のもうけを示す2022年3月期(国際会計基準)の連結事業利益を見通し6000億円から8000億円(前期は1100億円)に引き上げた。上方修正は今期2度目。鋼材価格の改善、化学品の市況好転などによるグループ会社の損益好転が寄与している。

<自動車減産をカバー>

森高弘副社長は会見で、上期決算を「大変良い数字」と総括した。事業利益8000億円のうち、2000億円は原料高により発生する在庫評価差であることから、「実力の6000億円を定着させたいし、それは可能だと思っている」と述べた。

中間配当は8月公表時から15円増額し、1株70円と過去最高水準とした。

コロナ禍からの回復が続いてるほか、中国の減産政策もあり、国内外の鋼材需給は引き続き引き締まった状況。半導体不足で自動車メーカーが減産を余儀なくされているが、森副社長は「需要そのものが強く、他の注文でリカバリーできている。決算への影響は大きくない」と述べた。

特定顧客向けの鋼材価格の値上げにも取り組んでおり、上方修正した2000億円のうち、900億円はマージンの改善となった。

上期は1トンあたり10万6600円だった鋼材価格は下期12万7000円へのさらなる上昇を見込んでいる。

最終的なユーザーと直接価格交渉をして取引する「ひも付き価格」については「上期決着並みの水準で、足元で順次決着しつつある」という。ただ、上期以上に原材料価格は上昇しており、これが鋼材価格に反映されるには、時間差が生じるとしている。

「ひも付き価格」の決定は、来期から生産に入る前に決める方法に変更する。ユーザーの「理解も広がっている」という。

<トヨタとは「友好な関係を継続」>

通期の純利益予想も3700億円から5200億円(前期は324億円の赤字)に引き上げた。IBESがまとめたアナリスト8人の予想平均4011億円を大きく上回った。 通期の単独粗鋼生産見通しはこれまでの4000万トンから3970万トンにわずかに引き下げた。夏場の台風が影響した。前期は3300万トンだった。 21年4―9月期の純利益は2987億円(前年同期は1911億円の赤字)と黒字転換した。瀬戸内製鉄所呉地区鉄源設備は計画通り休止。事業再編損として503億円を計上した。

森副社長は、日鉄がトヨタ自動車を鋼板の特許侵害で提訴した件について、「トヨタは最も重要な顧客の一つ。友好な関係を継続したい」と述べた。

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