11月ロイター企業調査:足元の円安、3割が減益要因 原料高で業績圧迫

経済・ビジネス

11月のロイター企業調査によると、為替市場でドルが113円ー114円台で推移した場合、業績にどのような影響を与えるか聞いたところ、「減益要因」と回答した企業が約3割と、「増益要因」とした回答を上回った。2017年6月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
11月のロイター企業調査によると、為替市場でドルが113円ー114円台で推移した場合、業績にどのような影響を与えるか聞いたところ、「減益要因」と回答した企業が約3割と、「増益要因」とした回答を上回った。2017年6月、都内で撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 11日 ロイター] - 11月のロイター企業調査によると、為替市場でドルが113円ー114円台で推移した場合、業績にどのような影響を与えるか聞いたところ、「減益要因」と回答した企業が約3割と、「増益要因」とした回答を上回った。円安が必ずしもプラスに作用しない現状が明らかになった。

また、原材料価格の上昇が今年度の業績を圧迫する要因になり得ると8割近くの企業がみており、更なる円安や原油高が続けば企業経営は苦しい状況に陥る可能性がある。

調査期間は10月26日から11月5日まで。発送社数は502社、回答社数は248社だった。

ドルは足元113円近辺で推移しているが、先月、一時114円台後半まで上昇し、2017年11月以来の高値圏を記録した。ドルが113円から114円台で推移した場合、33%が「減益要因」、23%が「増益要因」と回答し、「影響はない」とした企業は44%だった。

企業の中には、「輸入コストが高騰するため収益を圧迫する」(食品)との声があり、同様の回答は化学製品や運輸などでも見られた。また「為替差損」が発生し減益要因になると回答した企業は輸送用機械や卸売りなどでもあった。

一方、足元の円安が業績に「影響はない」と回答した企業でも、小売りやサービスなどは、「インバウンド消費が未回復の現状ではあまり影響がない」といった状況で、経済活動の回復の鈍さがうかがえる。ある情報サービス企業は、「業績低迷のため、海外との取引を凍結している」 とのコメントを寄せた。

ドル/円で「悪い円安」は何円以上かとの問いに、最も多かったのは「120円以上」で44%、次に「115円以上」で21%と続く。「110円以上」は13%で、「125円以上」と「130円以上」はそれぞれ11%だった。

<原材料高で業績圧迫リスク>

原材料価格の上昇が、今年度の業績を圧迫する要因になり得るとみている企業は79%となり、前回7月調査時点での67%から上昇した。原材料価格の上昇を、自社の販売価格に転嫁できているかとの問いに対し、「転嫁できていない」は47%となり、前回の39%から上昇した。

回答社の中には、「少し前の好景気時であれば、価格に転嫁できていたが今の状況では難しい」(運輸)といったコメントや、「内需の減速につながる」(輸送用機器)といった懸念の声があった。

(金子かおり グラフィック作成:照井裕子)

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