ロシア上空回避の飛行ルートすでに検討=ANA・JAL両社長

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3月2日、ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)の平子裕志社長は、緊迫化するウクライナ情勢を受け、「安全運航の担保が大前提」とした上で、安全が担保できない場合はロシア上空を通らないルートの飛行が選択肢になるとの考えを示した。写真はベルリン上空の飛行機雲。2020年4月撮影(2022年 ロイター/Annegret Hilse)
3月2日、ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)の平子裕志社長は、緊迫化するウクライナ情勢を受け、「安全運航の担保が大前提」とした上で、安全が担保できない場合はロシア上空を通らないルートの飛行が選択肢になるとの考えを示した。写真はベルリン上空の飛行機雲。2020年4月撮影(2022年 ロイター/Annegret Hilse)

[東京 2日 ロイター] - ANAホールディングス傘下の全日本空輸(ANA)の平子裕志社長は2日、緊迫化するウクライナ情勢を受け、「安全運航の担保が大前提」とした上で、安全が担保できない場合はロシア上空を通らないルートの飛行が選択肢になるとの考えを示した。日本航空(JAL)の赤坂祐二社長も、ANAと「まったく同様だ」と語った。

同日開かれた脱炭素化実現に向けた持続可能な燃料(SAF)普及に関する有志団体設立会見の後、記者団に対して語った。

JALは羽田―モスクワ線について、安全面を考慮し、先週に続き今週も欠航にすることを決めた。ただ、現時点では両社とも通常の飛行ルートで欧州路線の運航を続けている。

ANAの平子社長は「毎日フライトを飛ばすか飛ばさないか検討しているが、情勢が時々刻々と変わっている」と説明。安全運航が担保できる状況がいつまで続くかは不透明なため、「ロシア上空を通らないルートを検討させており、(そのルートが)確立できるのであれば、選択肢に入ってくる」と述べた。ロシア上空よりも南下する飛行ルートになる可能性があるという。

海外企業でロシアでの事業を見直す動きが出ている中、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減で延期中のモスクワ線の新規就航について、平子社長は「ロシアへの渡航需要がこれからどれだけ維持できるかは大事なポイントだ」と指摘。

「需要がないのに飛ばす必要はない。他の航空会社も飛ばしているマーケット。採算がとれなければ、非常に厳しい選択を迫られる可能性はある」とした。ただし、「今の段階で(就航するかどうかを)判断できるものではない」とも語った。

<JAL、欧州3路線の共同運航を一時解除>

JALは、羽田―ロンドン、羽田―ヘルシンキ、成田―フランクフルトの定期便における欧州航空大手との共同運航(コードシェア)を2月28日から3月26日まで一時的に解除した。

同社が共同運航をしているフィンランドのフィンエアー、英ブリティッシュ・エアウェイズなど一部の欧州航空大手がロシアから同国上空の飛行を禁止されている。日本の航空会社は禁止対象となっておらず、JALは運航を維持するために予防的措置を取った。

JALはまた、ロシアのアエロフロート・ロシア航空と共同運航しているが、赤坂社長は「特に影響は出ていない」と述べた。

ANAは、欧州路線での独ルフトハンザ・ドイツ航空などとの共同運航に関して「当該航空会社の判断に基づき対応する」(広報担当者)としている。

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