地震経験生かし支援=熊本の自治体職員、豪雨被災地に-「今こそ恩返し」

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西日本豪雨の被災地で、熊本地震の被災自治体職員が支援を行っている。「今こそ恩返しを」。熊本県を含め10自治体から延べ160人以上が現地入りし、震災の経験を生かした活動を展開している。

熊本県は、震災の災害関連業務を経験した職員7人による支援チームを、14日から広島、岡山両県に派遣した。チームを率いた防災企画室長の黒瀬琢也さん(47)によると、両県の災害対策本部では、熊本地震での避難所開設や罹災(りさい)証明書発行の開始時期をまとめた表を示し、今後必要になる業務を説明した。

避難所の温度管理やプライバシー確保は、ノウハウを持つNPOと連携するようアドバイス。地震時、県内自治体からの問い合わせを受け作成した罹災証明書発行や生活再建支援金受け付けに関する問答集も提供した。黒瀬さんは「震災で受けた支援の恩返しに、経験を少しでも役立てたい」と話した。

熊本県大津町は広島県海田町に6人を派遣。派遣された紫藤久希さん(35)は地震直後、町民からの問い合わせなど目前の業務に忙殺され、その後の業務量が増加してしまった苦い記憶がある。

「被災直後の適切な対応が、その後の円滑な被災者支援につながる」。避難所運営や交通整理に追われる海田町の職員に対し、災害廃棄物を分別せずに集めると後で処理費用が高騰することなどを助言した。

熊本市も8日以降、広島県呉市や岡山県倉敷市などに職員を投入している。呉市では延べ16人の職員と給水車3台が給水支援を行った。地震当時、ペットボトルを持参する被災者が多かったが、給水栓の口径が大きくうまく給水できなかった。このため栓を改良し、ペットボトルへも給水できる口径の小さいレバー式蛇口を設けた。

給水チームを指揮した三村靖彦さん(56)は「地震時の経験があったため慣れており、スムーズに活動できた」と胸を張った。ある日、給水車のワイパーに「感謝の涙が出ます 呉市一市民」と書かれた手紙が挟まっており、熊本まで大切に持ち帰った。「疲れも吹っ飛びました」。

災害関連業務について広島県職員にアドバイスする熊本県職員(右の2人)=14日、広島県庁(熊本県提供)

熊本市職員による豪雨被災地での給水活動=7月10日、広島県呉市(熊本市上下水道局提供)

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