財源確保「毎年勝負」=各地の祭り、伝統継承に壁

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郷土の伝統を受け継ぐ各地の祭りが、財源の安定確保に苦しんでいる。来場者数過去最低を記録した徳島市の阿波おどりも、財政難が混乱の引き金だった。集客力のある有名な祭りの主催者からも「毎年、毎年が勝負」と、苦しい台所事情を訴える声が上がる。

北海道の初夏の風物詩YOSAKOIソーラン祭り。「辛うじて黒字でやっている」と組織委員会の奥野拓事務局長は話す。祭りの規模拡大により会場設営や警備の経費は増加傾向にあるが、運営のための公的な補助金は受けていない。協賛企業の顔触れは毎回のように変わり、資金確保は不安定だ。「もうけを目標にしているわけじゃないが、毎年、毎年が勝負だ」と危機感を募らせる。

諏訪神社の神事として400年近くの歴史を持つ長崎市の「長崎くんち」も事情は同じだ。氏子らによる奉納踊りでは傘鉾(かさぼこ)や山車、衣装などの費用で市内の各町ごとに約3000万円が必要とされ、長崎伝統芸能振興会の担当者は「住民らは資金集めに苦しい思いをしている」と話す。県外から移ってきた新住民の中には、祭りの伝統に理解を示さず資金負担を渋る人もおり、財源確保は綱渡りだという。

運営側も手をこまねいているわけではない。京都・祇園祭の祇園祭山鉾(やまほこ)連合会は、運営費の負担軽減のため、2017年からインターネットで資金を募る「クラウドファンディング」の活用を始めた。17年は1300万円超、18年は400万円超といずれも目標額を上回る資金調達に成功。連合会は「プロジェクトにご協力いただき、祭の熱気、風情を感じてください」とサイトで呼び掛ける。

青森ねぶた祭は、観覧席のチケット販売落ち込みと警備員などの人件費高騰を理由に、17年に観覧席の料金を約15%値上げし、3000円とした。実行委員会事務局の担当者は「先人たちがやってきたことを受け継ぐのが務め。大事にしていきたい」と理解を求めている。

青森市の「青森ねぶた祭」=5日

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