工場を野鳥の憩いの場に=広がるアイデア緑地-国内メーカー

経済・ビジネス

企業の工場内の緑地と言えば生け垣や芝生が定番だったが、最近は周辺環境と調和した樹木や草花を取り入れるなど、生態系を守る工夫を凝らしたアイデア緑地づくりが進んでいる。国際会議などで民間企業にも生物多様性保全への貢献が求められていることが背景。「緑地の質を高める意識が浸透してきた」(環境団体関係者)といい、工場は野鳥や昆虫の憩いの場になりつつある。

エアコンなどを製造する三菱電機の静岡製作所(静岡市)は、2016年春から生物多様性に配慮した緑地づくりを始めた。JR静岡駅から約3キロの同製作所周辺には里山が点在するが、市街地で分断されている。このため、中間点にある製作所で緑地整備を進め、野鳥や昆虫が移動中に「寄り道」できるようにする計画だ。

緑地内の樹木や草花はソヨゴやスミレなどの在来種で構成。宅地開発で伐採されそうな植物を移植した。2区画で約360平方メートルと小規模だが、多くの生物の来訪に備え、高さや開花時期が違う多様な植栽にこだわった。「昨秋には驚くほどチョウチョウを見た」と同社担当者は話す。

東京都大田区のキヤノン本社には、ツグミやムクドリなど約30種類の鳥が訪れる「下丸子の森」と呼ばれる緑地がある。「地域から受け入れられる事業所を目指して緑地を整備したら、多くの鳥が訪れるようになった」と木村純子CSR推進部長。「日本野鳥の会」の指導で水飲み場などを設け、4年前から鳥の生態調査も行っている。

また、愛知県知多半島では進出企業が連携し、各工場にまたがる緑地帯をノウサギやキツネが住む「第二の里山」にしようとの取り組みが進む。工場が地域で果たす役割は今後も広がりそうだ。

三菱電機静岡製作所で整備が進む野鳥や昆虫が「寄り道」できる緑地=7月11日、静岡市

三菱電機静岡製作所の緑地整備では従業員の家族が参加する植栽イベントも開催=4月、静岡市(三菱電機提供)

キヤノンの本社敷地内に整備された「下丸子の森」。約30種の鳥が訪れる=8月9日、東京都大田区

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