武器貿易条約、発効より履行=戦場に潤沢な銃、提供国に責任-赤十字国際委局長

政治・外交

日本で20日から5日間の日程で締約国会議が開かれている武器貿易条約(ATT)について、赤十字国際委員会(ICRC)のヘレン・ダーラム国際法・政策局長が「条約の発効は第一歩にすぎない。履行が大事だ」と各国に呼び掛けている。ATTは銃器などの輸出入の規制を各国に求めているが、イエメンやシリア、アフガニスタンなど世界各地で武装勢力は今もどこかから潤沢な武器を入手し、戦闘が止まらない。

締約国会議のため来日した20日、東京都内で時事通信社の取材に語った。局長は「武器を供給する国は必ず存在する。戦争犯罪を生み出す集団に武器を提供すれば、提供した国が責任を負う」と強調した。こうした「国家の責任」を忘れさせないよう声を上げ続けている。

冷戦後の紛争の特徴として「長期化が目立ち、都市での戦闘が多くなり、『国家』ではない『武装勢力』が戦闘の主体になることが増えた」と指摘する。その中でも「小型の銃器を入手しやすくなっていることは大きな問題で、戦闘に巻き込まれた人々の苦しみに直結する」と特に問題視している。

ICRCの活動現場は圧倒的に紛争地が多い。ATT発効前から「武器の移動を規制できないかと切実な声が戦地の現場から上がっていた」と局長は振り返った。今も戦場で弱者が犠牲になっており「問題を提起し続ける」と語った。

一方で、文化や習慣、歴史や地域を超えて人類には「人間の尊厳」に対する共通の考え方が存在すると考えている。イスラム法の専門家を仲間に加え「伝統的に信じてきたものと国際人道法はつながっている」と伝える努力を続けており、最近もイスラマバードでイマーム(イスラム指導者)を集めたセミナーを開いて共通の理解を深めた。イスラム過激派に対する説得の足掛かりとしていく考えだ。

日本に対しては、国連で昨年採択された核兵器禁止条約について「どこの国であれ、加わらない国があることは残念だ」と述べた。一方で「核兵器が使われればどうなるか体験を語る重要な役割が日本にはある。核保有国と核兵器に反対する国の橋渡し役も日本なら担える」と語り、今後に期待を示した。また「戦争の苦しみを知り人間の尊厳についても深い理解がある日本人に世界の舞台でもっと強力な役割を発揮してほしい」と呼び掛けた。

取材に応じる赤十字国際委員会(ICRC)のヘレン・ダーラム国際法・政策局長=20日、東京都港区

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