国産ホップの栽培後押し=「和食に合う」が魅力-ビール大手

経済・ビジネス

ビールの原料の一つで、独特の香りと苦味のもとになる植物、ホップ。現在国内のビール製造で使用されるホップの約9割が外国産だが、収穫直後の新鮮な状態で使える国産に大手ビール会社が注目。栽培を後押しする動きが始まっている。

日本有数のホップ産地、岩手県遠野市では8月下旬に畑で収穫作業が行われていた。高さ5メートルの青々としたホップ棚の間をトラクターがゆっくり走る。作業は運転手を含め3人がかり。高さ数メートルの作業台の上にいる1人が鎌でつるを切って落とすと、辺りにかんきつ類のような、すがすがしい香りが広がった。

収穫後は近くの加工施設に運び、農家が共同で選別などの作業を行う。松ぼっくりのような形をした花の部分だけを切り分け、乾燥させた後でビール会社に出荷する。

農林水産省によると、1970年代に2000トンを超えていた国産ホップの生産量は、直近は年約270トンにまで減少。高所作業などの重労働や、後継者不足のため生産農家が減っていることが大きい。

そうした中、キリンと農林中央金庫は8月、ホップなどを生産する遠野市のビア・エクスペリエンス(BE)社に計2億5000万円を出資すると発表。国産の安定調達などが目的で、BE社は機械化を進めて収穫量を増やす。吉田敦史BE社長は「国産は奥ゆかしい香りで、和食に合うビールの味が出せる」と話す。

サッポロビールは北海道や青森、岩手両県でホップ作りの技術支援を行い、生産効率の良い品種改良も手掛けている。

国産は生産量が少ないため、キリンの「一番搾り とれたてホップ生ビール」など限定商品向けが中心。ただ、最近若者に人気の「クラフトビール」でも一部で使われ、「栽培の追い風になる」(吉田社長)と期待が高まっている。

ホップの収穫作業=8月27日、岩手県遠野市

ホップの選別作業を行う農家の人たち。手作業で異物などを除去している=8月27日、岩手県遠野市

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 生産 東北