子会社上場に厳しい視線=独立性を阻害

経済・ビジネス

上場企業が傘下の子会社とともに上場する「親子上場」に対する投資家の視線が厳しくなっている。親会社にとっては、子会社への影響力を残しつつ、株式売却益を得る「一石二鳥」の効果がある半面、子会社の独立性といった企業統治面での懸念が根強いためだ。

親会社の利点だけでなく、子会社にとっても、親会社の傘下にあることは経営安定などにつながり、社員の士気向上や人材採用に有利に働く効果が期待できる。親子それぞれが複数の資金調達手段を得ることで、グループ全体として成長を加速できるようにもなる。今年に入っても、ソフトバンクグループが7月、携帯電話子会社ソフトバンク(東京)の上場を東証に予備申請した。

しかし、企業統治への意識の高まりなどからデメリットも目立つようになり、企業にとって利点を上回るケースが増えつつある。

子会社が事実上の経営支配権を握る親会社から不利な条件での取引を強いられれば、子会社の少数株主の権利が損なわれかねない。機関投資家も親会社からの独立性を重視。三井住友信託銀行は昨年12月、上場子会社について、取締役総数の3分の1以上を独立社外取締役とすることを求めるガイドラインを定めた。新日鉄住金の子会社、日新製鋼は今年、この条件に満たず、同行は取締役10人全員の再任案に反対した。

東証は親子上場について、企業統治指針で掲げる「株主の権利・平等性」原則に反する恐れもあるだけに、「親会社から独立した経営をきちんとできる仕組みと運用が整っているかを慎重に審査している」(東証関係者)という。

企業に対し高いレベルでの内部管理体制が求められる中、親子上場の維持コストは増すばかり。今後は、解消する動きが加速するかもしれない。野村資本市場研究所によると、2017年度末時点で263社とピークだった06年度末の417社から4割減。同研究所の西山賢吾主任研究員は「事業の選択と集中など企業価値を高める上で親子上場を見直す動きがあり、今後も減少していく」との見方を示している。

[Copyright The Jiji Press, Ltd.]

時事通信ニュース 資金運用・調達・新規上場