日本、深入り避ける=サウジ記者殺害疑惑

政治・外交

サウジアラビア人の著名記者が在トルコの自国総領事館で殺害された疑惑に対し、日本政府は推移を注視し、深入りを避けている。関係国がいずれも日本にとって重要な国々であることから、一歩引いて慎重に対応する構え。日本経済や来年6月に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に影響しないよう、早期の収拾を期待している。

菅義偉官房長官は18日の記者会見で、容疑者がサウジのムハンマド皇太子とつながりがあるとした米紙報道について、「捜査中であり、コメントは控えたい。早期の真相究明、公正かつ透明性のある形での解決を期待している」と述べるにとどめた。

民主主義、人権などの価値観を重視する外交を展開する日本だが、この問題での動きは鈍い。先進7カ国(G7)外相は17日、記者失踪を受けて「非常に困惑している」との声明を発表した。先に英独仏外相が「重大な懸念」を表明したのに比べ穏当な表現にとどまり、日本も乗ることができたという。外務省関係者は「日本は様子見だ。サウジとの関係に影響はない」と述べ、欧州とは一線を画す姿勢を示した。

国際社会のサウジ批判が強まる中、日本が煮え切らない対応を続けるのは、サウジとの良好な関係を保ちたいためだ。サウジは日本にとって最大の原油供給国。中東情勢が混迷すれば原油価格上昇などで日本経済に悪影響を与えかねない。

昨年3月にサルマン国王が来日し、安倍晋三首相と経済関係強化で合意した。首相は今年7月にサウジを訪問する予定だったが、災害対応を優先し、取りやめた経緯もある。G20会議に合わせたサウジ首脳の訪日も想定されるため、日本は早期の沈静化を望んでいる。

疑惑の舞台となったトルコとも日本は友好関係を維持している。サウジと同盟関係にある米国のトランプ政権が真相究明に乗り出したことから、日本は米国の対応を見極める方針だ。

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