廃校が異色の水族館に=プールにウミガメ、郷愁も-開館半年で10万人・高知

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太平洋を望む高知県室戸市に、小学校の廃校を再利用した「むろと廃校水族館」がある。教室や廊下に水槽が並び、プールでウミガメが遊泳。開館からほぼ半年の30日までに、来館者が10万人を突破するほどの人気ぶりだ。過疎地のかつての学びやは、にぎわいを取り戻し、家族連れやカップルの笑顔であふれている。

市などが約5億円を投じ、12年前に廃校となった3階建て校舎を生まれ変わらせた。受付から階段を上ると長い廊下が延び、ずらりと並ぶ水槽では、タイやウツボが顔をのぞかせる。手洗い場はナマコやヒトデを直接触れる人気スポット。「ぷにぷにする」などとはしゃぐ子どもの声が響く。25メートルプールでは、大きなウミガメやシュモクザメが悠々と泳ぐ。飼育する海の生き物は約100種類。漁師らが地元の海で捕獲したものがほとんどだ。

館内に色濃く残る学校の面影も評判を呼んでいる。教室に小さな机と椅子が並び、理科室には人体模型や魚のホルマリン漬けもある。図書室で読書したり、ピアノを弾いたりして過ごす人の姿も。愛媛県西条市の守木鈴華さん(11)は、教室に置かれた将棋盤を家族4人で囲み、「こんな学校があればいいな」と目を輝かせた。

駅も高速道路もない自治体に造る水族館には当初、「どうせ誰も来やしない」と住民の冷ややかな声が上がったが、若月元樹館長(43)が市議会の反対を押し切って開館にこぎ着けた。廃校は多くの地方が抱える課題だが、若月館長は「名称に含めれば廃校利用が一目瞭然で、注目が集まる」と力を込める。

市が見込んだ年間約4万人を大幅に上回る集客を実現し、廃校活用の成功例として全国から注目を集めるまでになった。地域への波及効果も大きく、道の駅「キラメッセ室戸」の女性従業員は「水族館のお土産を持った家族連れが増えた。本当にありがたい」と語る。若月館長は「室戸に遊びに来たり、里帰りしたりするきっかけになれたら」と手応えを感じている。

高知県室戸市の「むろと廃校水族館」=20日

学校の手洗い場を再利用して作られた「タッチプール」で遊ぶ子ども。ナマコやヒトデ、巻き貝などを触って楽しめる=20日、高知県室戸市

学校の屋外25メートルプールを再利用した水槽で泳ぐウミガメ=20日、高知県室戸市

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